様々な不調の原因、上咽頭炎

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上咽頭ってご存知ですか?喉の奥と鼻の奥の境目、図の赤丸のあたりの部位の事です。口を大きく開けて見える喉ちんこから上の裏側が上咽頭というイメージ。

上咽頭は、ウイルスや有害物質を吸い込むと普通のうがいや咳などでは取れにくくたまりやすいため、リンパ組織たくさん集まっていて、炎症が起こりやすい場所です。

鼻の穴( がいこう といいます)は二つで、絶え間なく働いているようで実は左右交互に休んでいるのだそうですが、上咽頭部では一つに合流して気道の方に曲がっている、吹き溜まりのような形。私たちが一日に吸う空気の量は1万リットル、500ミリ・リットルのペットボトル2万本に相当するのだそうですが、そこにウイルや有害物質がたくさん含まれていたら?そのために喉の他の部位と違ってリンパ組織が発達して、外来異物と常に戦ってくれているというわけなんです。

上咽頭炎が急性期だと、鼻と喉の間が痛いとか痰がたくさん出る、微熱が出るなどの症状があります。症状だけでは普通の喉風邪と区別がつきませんね。免疫がしっかりしている方ならば風邪と同じように自然治癒します。でも、免疫が弱くて炎症を収束できない方、アレルギー性鼻炎などでしょっちゅう炎症を繰り返す方などは、上咽頭炎が慢性化してしまう場合も多く、中には10年以上、この症状で苦しんでいる人、逆にそうとは気づかないでいる人がいるのが問題なんです。

慢性上咽頭炎が引き起こす症状

病巣感染と言って、体のどこかに感染症や慢性炎症があると、その影響で体中の様々な不調を起こす原因になると言われています。慢性上咽頭炎も病巣感染の一つです。

上咽頭炎の予防

まず、口呼吸で口の中が乾燥すると、上咽頭にウイルスが付着しやすくなるので鼻呼吸をすることがとても重要です。お昼間は極力意識して用のないときは口を閉じるようにしましょう。マスクを着用するとついつい口呼吸になっている人が多いと言われていますので、要注意です。

意外と夜間に無意識のうちに口呼吸になっている人が多いんですよ。朝起きたとき、口が乾いていたり、のどが痛くなっている方、口にテープを貼る方法、なかなかいいですよ。実は私もやってます。市販のテープもありますが、かぶれさえしなければ、普通の絆創膏でいいです。ただし、かぶれやすい方はちょっとごわつきますが、粘着力は弱いですがビニールテープがかぶれにくいです。それでもだめなら・・・難しいかもしれません(すみません)。

そして、鼻うがい。生理食塩水で鼻の穴を洗浄するというもの。生理食塩水の濃度ならば痛くはありません。かなりの予防効果があるようですが、洗いすぎもかえって悪いという意見もありますし、あまりに鼻詰まりの強い方は難しく、人によっては水が耳の方に流れて中耳炎になってしまう事もあるようなので、無理は禁物です。鼻うがいはハードルの高い物だと感じている人も多いようですが、やってみれば意外と簡単で、気持ちいいですよ。花粉の時期には花粉を洗い流す効果もありまから、できる人は是非実践してみてください。

痛む場所と痛みの原因の場所が違う

 咽頭痛、いわゆるのどの痛みというと、首の真ん中の辺りに感じる人がほとんど。インフルエンザの時も、そこに痛みを感じた経験があると思いますが、実際に綿棒で検査されるのは鼻の奥の上咽頭です。上咽頭でウイスルが急激に増殖するからなのですが、そこに痛みがあることはあまりありません。ところが実は、咽頭痛の原因の90%は上咽頭の炎症という報告があります。痛む場所と原因の場所が違っているのとなると、痛む場所だけを調べても正体はわかりません。

慢性上咽頭炎とは? 10年以上悩んだ症状の原因はこれだった

 10年以上前から、のどのヒリヒリと焼けつく感じに悩いたけれど、通常の診察では特に異常がなく、これといった治療もありません。

上咽頭炎を見てもらえる(これが重要)耳鼻科で喉頭内視鏡で上咽頭の腫れを指摘されました。(粘膜表面を綿棒でこすってみると、じわじわと出血(写真上)。本来は、粘膜だからといって簡単に出血するようなことはありません。)こする治療を続けたところ、4か月もすると、強くこすっても出血することがなくなり(写真下)、同時にヒリヒリした痛みも消失。

こすって治す上咽頭擦過治療EAT療法

慢性上咽頭炎に対し、塩化亜鉛という強い刺激物質を塗布して綿棒でこするというこの治療は、上咽頭擦過治療(Epipharyngeal Abrasive Therapy:EATイート)といいます。まさに傷口に塩を塗りつけるかのような、とても原始的な治療で、治療の際の痛み(炎症が強いほど激痛)もあります。

栄養療法的に慢性炎症として多いのが、①腸の炎症、②脂肪肝 ③上咽頭炎

慢性炎症は直接的、間接的にいろいろな症状や病気を引き起こしていることが分かってきています。長年続くのどの痛み、鼻づまり、後鼻漏(咽に流れる痰や鼻汁)、首回りのいろいろな症状はもちろん、頭がボーっとする、疲れやすいなどの症状で悩んでいる人は一度、慢性上咽頭炎を疑ってみてはいかがでしょうか。

慢性上咽頭炎については、いまだ診断・治療が標準化されておらず、耳鼻科の先生でもそれを診断治療して下さるところは少ないのが現状ですが、2019年11月、日本耳鼻咽喉科学会の関連学会である日本口腔・咽頭科学会の中で、上咽頭擦過療法検討委員会が発足したそうです。同委員会の活動により、慢性上咽頭炎についてさらに多くの知見が集まって、広く知られるとともに診断治療が受けられる耳鼻科クリニックが増えてくれたらうれしいですね。

コロナ後遺症と栄養

コロナ禍と言われてもう1年以上になります。コロナ感染自体も大きな問題になっていますが、後遺症で苦しむ人たちが大勢いらっしゃることも、コロナを必要以上に恐れさせる要因になっています。

コロナ後遺症の症状:出典は

新型コロナ後遺症の頻度と持続期間:yahoo newsより

yahoo news。感染症専門医、忽那賢志先生の記事から抜粋させて頂きました。

①肺の症状の痕跡:息苦しさ、胸の痛みや違和感、咳

②だるさ、脱毛、PTSD、不眠、記憶障害、集中直低下、抑うつ

比較的頻度が高く、持続期間が長いな、と改めて思います。

今のところ対処法はないとされていて、「いつかは治る可能性が高い。」と慰められている現状。

予防法はコロナに罹らない事しかないので、出来るだけ外出せず、3密を避けるということです。

①は肺の炎症の名残ですから、ある程度代償機能が働くようにならないと改善されないと思いますが、私は当初から、②の症状は栄養不足であろうと思っています。栄養が不足すると感染症に罹りやすく重症化しやすいですし、重症化すれば強い炎症で、様々な栄養素が総動員されて消費されるので、病後はさらに栄養不足が進みます。

そうすると、②のような症状が起こるのは分子栄養学的には当然なんです。そして②が改善して体と頭が動くようになれば、きっと①の回復も早くなるだろうと。とはいえ、そのような患者さんに出会ったこともなく、ましてや治療したこともないので、大きな声では言えませんでした。

先日、たまたま、お知り合いの息子さんがコロナ感染に見舞われ、発熱はしたものの元気にしていると聞いておりましたが、治癒後しばらくして、激しい脱毛が起こったと相談されました。そこで、おそらく感染で消耗されたであろうグルタミン、ビタミンミネラル、特に亜鉛を補充する適切なサプリメントをご紹介したところ、なんと、たった10日で劇的に改善という嬉しい報告をいただきました。

彼は若いし、まだ比較的早期の対処できたので、皆が皆そう劇的に上手くいくとは思い難いですが、手をこまねいて長期間自然治癒を待つだけよりは、やってみる価値がずっと高いと思いました。

そして早速「コロナ後遺症の診察始めました。」とクリニックのホームページにご案内しましたよ。こんなことは、大きな病院に勤務していたら、「エビデンスがない」とか「専門外」とか言われる可能性もありますし、良くても「倫理委員会を通すために書類を書いて会議にかけて判断する」となるので、弱小のクリニックでよかった、と思っています。

とはいえ、患者さんはそのお知り合いの息子さんまだ一人。どうかどうか、困っているコロナ患者さんが私のブログかホームページを見つけてくれますように・・・

低下している食材の栄養価 その2

新型栄養失調の原因

1.そもそも食べるメニューが偏っている。

2.パック野菜(カット野菜、水煮野菜)があふれている。

3.精製度の高い調味料

4.食品添加物

5.食材そのものの栄養価の低下

6.ストレス、消化機能、腸内環境・・・・・・・・

畜産物と海産物はそのものの栄養価の低下というよりは、栄養価の働きを阻害すると言った方が正しいかもしれません。

まず畜産物。動物のお肉は主要な蛋白源。草を食べてお肉を提供してくれている牛や豚は当然草食動物。牛や豚は食べた草をタンパク質に置き換える消化酵素、腸内細菌を持っているんです。

昔は干し草を餌として育てていた牛や豚、現在は90%はトウモロコシが餌になっています。草を餌にした牛とトウモロコシを餌にした牛では脂質の違いにより栄養価が格段に変わってくるのですが、それは後日に置いとくとして・・・・

トウモロコシや大豆の大半は輸入の物。納豆や豆腐の材料や大豆そのものには「遺伝子組み換えでない」大豆を使っている、と表示していますが、家畜のエサには表示義務がないので、ほとんどが遺伝子組み換え・・・なぜ遺伝子を組み換えるのか、それは強い農薬でも枯れない品種にするためです。ってことは、遺伝子組み換えそのものの不気味さに加えて、成長段階で強い農薬が散布されているってことですよね。

遺伝子が組み換えられた作物は本来地球上にない物だから、我々地球上の生物には、それを消化吸収したり体の細胞として利用する機能が、うまく作動しない可能性があるのではないかと危惧されています。

ってことは、栄養不足と同様に生体の機能が回りにくくなります。いやそれ以上に有害?

そして、最後に海産物。海産物は日本人が古来から食料としてきた、日本人の体質に合った食材。魚や海藻は栄養豊富で、ぜひ食卓に取り入れたいものです。

しかし、産業革命以来、海には多くの有害物質が流れこみ蓄積されています。火力発電所などから排出される有機水銀がその代表です。日本はじめアジアの近海の海水の水銀量は世界でも特に多いのです。

水銀は食物連鎖の上位の大型魚になるほど蓄積され、濃縮されています。あの腰の重い厚生労働省が妊婦さんに「マグロを食べる量を制限せよ」と明言しているのはそのためです。水銀の蓄積の究極は水俣病ですよね。そこまでいかずとも、大型魚をたくさん食べると、水銀が蓄積されていきます。

水銀のなにが問題か。

水銀は金属です。人間の体に必要なミネラルも金属です。化学構造の似た(元素の最外角の電子の数が同じ)亜鉛が働くべきところに水銀が邪魔をしに来ます。亜鉛は300を超える酵素(体の反応を促進する物質)の構成因子として重要なミネラルですから、300以上の反応の邪魔をするという事です。

様々な症状の多くは、亜鉛欠乏の症状と関連があると考えられます。血糖の調節、免疫、細胞分裂、炎症、精神症状・・・あげればキリのない多くの重要な働きが阻害されるのです。

フィッシュオイルは摂りたい。でも、魚を食べるのは注意が必要。そこで、出来るだけ水銀が濃縮されていない小魚を食べるようにしましょう。目安はまな板の上にのる大きさまで。鯛くらいまでの大きさの魚を心がけましょう。

低下している食材の栄養価 その1

新型栄養失調の原因

1.そもそも食べるメニューが偏っている。

2.パック野菜(カット野菜、水煮野菜)があふれている。

3.精製度の高い調味料

4.食品添加物

5.食材そのものの栄養価の低下

6.ストレス、消化機能、腸内環境・・・・・・・・

加工食品の栄養価が下がっていることは、すでに述べました。それならば、生鮮食品を買ってきて、自分で調理をすれば解決するはずですね。もちろんそれが理想ですし、有効です。

ですが、その生鮮食品自体の栄養に問題があるとしたら・・・?

まずは農産物。私は、いつも少し高くても国産の食材を買う事にしています。第一の理由は、日本の農家を応援したいから。

何を隠そう私の実家はみかん農家です。大地が育む作物のおいしさと有難さを肌で感じ、それを作っている農家の姿を見て育ちましたから、医者の中では最も農業に対して思い入れが深い人間の一人だと勝手に自負しています。

輸入作物のポストハーベストの問題もあります。ポストハーベストとは、収穫後に防腐の為に使用する農薬の事です。輸入レモンがいつまでたってもカビないのを気持ち悪く思った事がある人、いらっしゃいませんか?

しかし、実は日本の農薬の規制の甘さは世界トップクラスって、ご存知でしたか?様々な政治的な理由で、農作物はかつてないほど農薬にさらされています。

農薬そのものが作物に残っている(残留農薬)のも問題ですが、実はもっと深刻な問題は土。ただし、日本の農家さんたちの名誉のため言っておきますが、個々の農家さんそれぞれに良い土づくりに力を入れていて、土の質は世界のなかでも至って優良であるというデータがあります。決して輸入作物のほうが良いというつもりではさらさらありません。その前提でのお話です。

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図1 腸絨毛の顕微鏡写真

余談ですが、図1は腸の粘膜の顕微鏡像です。腸絨毛という細長い凸凹があり、見えにくいですがその表面にさらに細い微絨毛があて、表面積を大きくした粘膜の表面が腸管内に突き出して腸にやってきた栄養素を吸収しています。

植物の根っこ

図2は実物大でちょっとイメージしにくいかもしれませんが、植物の根が太い根からひげ根を出して表面積を広げ、土から栄養素を吸い上げるのとそっくりでしょ?

農薬は生物が生きていく営みのどこかの過程を阻害するものですから、野菜につく虫を殺すために散布した農薬はやがて土に流れ、土の中の微生物を死滅させます。

ヒトの腸内細菌がお腹の中で免疫を育て、ビタミンや酪酸などの栄養素を作り、宿主の体の機能を支えているのと同様に、土の中の無数の微生物たちは、宿主である「大地」を健全に保つ役割を果たしています。

ですから農薬で、土中の微生物が死滅したら、土の免疫力は弱って、さらに虫にやられやすくなります。そうすると、もっと強い農薬が必要になる・・・ちょうど抗生物質を使いすぎて腸内細菌がダメージを受け、免疫が弱ってしまう人間のように・・・

そうすると、採れた野菜は、一見きれいで栄養豊富そうに見えても、実はそこに含まれる栄養素、特にミネラル・ビタミンの量が、何十年か前に比べ格段に少なくなっているのだそうです。

ましてやそのような作物をさらに加工して栄養価を捨て、それを日常的に食べ続けたらどうなるか・・・想像すれば、分かりますよね。

次は、畜産物と海産物の話です。

食品添加物で新型栄養失調 その2

新型栄養失調パート5 原因の4 食品添加物の中の化学調味料と栄養失調の関係です。

1.そもそも食べるメニューが偏っている。

2.パック野菜(カット野菜、水煮野菜)があふれている。

3.精製度の高い調味料

4.食品添加物

5.食材そのものの栄養価の低下

6.ストレス、消化機能、腸内環境・・・・・・・・・

そろそろ飽きてきたでしょうか?私も全く食品添加物を食べないのは無理と思います。でも、何も知らないで食べるのと、知ったうえで許容するのとでは雲泥の差です。だって、毎日何回も食べるのが食事なんですから。その積み重ねたるや・・・

そんなこと行ってちゃ食べるものなくなるじゃないか、精神衛生上よくないんじゃないの?なんて思う方は、とっくにこんなブログなんか読むのをやめておられると信じて、やっぱり書きます。

今日は、化学調味料のお話です。

ある辞書の記載を引用。「人工調味料の一種で,天然のうま味成分を工業的に生産したもの。現在は微生物を利用する発酵生産が多い。1908年にこんぶのうまみから発見されたグルタミン酸Naや、コハク酸Naがあるが,近年核酸系調味料として,かつお節のうまみ成分として発見された5′-イノシン酸Naと,しいたけのうまみから認められた5′-グアニル酸Naも用いられている。市販の化学調味料は,これらを混合して味覚上の相乗効果を高めた複合調味料が多い。」

天然の食材にもそれぞれ複数のうま味成分が含まれています。化学調味料は、発見されたもののうち、安価に化学合成できるようになった成分ですから、強い旨味があって当然。ほんの少し入れるだけで味がガラッと変わります。

大量生産大量消費時代には、前述のように、栄養とうま味の抜けた粗悪な素材が横行していますから、ドレッシングや加工食品には、安価で強い旨味を付加してくれる化学調味料が不可欠なんです。

でも、子どもの頃からならもちろん、大人になってからでも、その強すぎる旨味に慣れてしまうと、天然の素材の優しい複雑な旨味を感じる味覚が育たなくなって、本物のおいしさを味わうことができなくなります。もしかすると加工食品のミネラル不足の影響も重なってのことかもしれませんね。

特に成長期の子供が知らず知らずに味覚障害になると、好き嫌いが多くなって、ますます栄養が偏ってしまいます。

そしてさらに、だまされてはいけない表示があります。

「アミノ酸など」とは、複数の化学調味料をひっくるめてそう記載してよいことになっているのです。「アミノ酸」というと、栄養素ですから悪そうに見えないですが、その実上記の○○酸Naなどが多種類入っているんですよ。

よく調味料などに「無添加」と書かれている物を見かけますが、「酵母エキス」とか「○○エキス」と書かれている物、製造工程自体は化学調味料とほぼ同じ。成分的にも強い旨味の化学調味料と同様なのに、原材料が「食品」だから、食品表示上は「添加物」ではなく「食品」扱いなんです。

本当の意味で「無添加」にすると、食材がたくさんいるのでとてもコストがかさむのだそうです。

何度も言いますが、実際購入される際には必ず食品表示を見てみてください。

ヘルシーと人気のサラダチキン。スーパーにはビックリするほど様々な種類のサラダチキンが所狭しと並んでしますが、表示を見るとこの通り「。○○エキス」が何種類か、と「アミノ酸など」、と書かれています。鶏むね肉は確かにヘルシーかもしれませんが、こんなもの、ヘルシーと言っていいと思いますか?

いや、それでも巷にあふれる加工食品のなかでは、まだましなのかもしれないと思うと・・・・・

パート1でご紹介した煮干し出し粉やカツオ粉は天然の素材そのものであり、優秀なたんぱく源、ミネラル源でありながら、うま味の塊です。

売り物にするなら別ですが、ご家庭で、家族で召し上がるならば、化学調味料の代わりに今日から天然出し粉を粉ごとお味噌汁や煮物に入れてみましょう。だし昆布のかけらを一つ放り込むだけでもずいぶん美味しくなりますよ。

化学調味料は、直接栄養障害の原因になるわけではないかもしれませんが、味覚障害を招いて偏食の原因になります。

睡眠薬からの卒業、私はこうしました。

勤務医時代、朝は6時に起きて朝食とお弁当(娘ふたりと夫)を作り、夜8時ごろに帰宅して夕食を作り、何だかんだで就寝は夜中の12時、1時。もちろんそれまでに激しい睡魔に襲われても頑張って耐え、またはちょっとだけ仮眠しながら、明日の準備・・・そんな生活を長年続けて、とうとうたびたび眠剤のお世話になるようになってしまった私の、脱眠剤大作戦のお話です!

若い頃は布団に入るや否や眠りについていましたが、40歳を超えたころからいざ就寝!となると目が冴えて、眠れない時間を数える日が多くなってしまいました。「せっかく寝られる時間なのにもったいない!」「明日の仕事に差し障る!」などと焦るとますます寝られません。いつしか枕元に眠剤を置いて、寝られなくなったらこっそり飲むようになりました。枕元に眠剤があると少し安心して、寝られない事でイライラすることが減って、これはいい方法だ、なんて思っていましたね。もっと毎日眠剤を飲んでいる人もいるんだもの。このくらいなら大丈夫、とも思っていました。

でも、栄養療法を学ぶうち、眠剤で脳の機能をブロックして寝るのと、穏やかな良い睡眠をとるのは全然違う、と知り、また、眠剤の連用で脳機能が低下する可能性もあるとも知りました。テレビの特集でも脳科学的に睡眠の重要性が取り上げられる機会も多くなってきたところを見ると、世の中には寝られないひと、結構いるんだ。私ったら医者のくせに、なんとか克服して、患者さんにシェアしなくちゃ、って思いました。その方法とは・・・

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栄養療法で脳梗塞の克服を目指す父

左右の頸動脈が閉塞してこの冬2度も倒れたわが父。すでに側副血管(閉塞血管を補う新しい血管)がある程度新生していたため一命はとりとめ、明らかな麻痺も残らなかったものの、86歳と高齢で閉塞がひどいためステントもバイパスも適応なしとなり、結局経過観察のみ。いつまた発作が起こるかわからないと主治医にはきつく言われていました。

私は何の手出しもできず、せめて病院食の朝食のパンと牛乳、これだけはやめてもらうようお願いしました。(ホントはこれ、全ての患者さんに適応してほしいところですが・・・・)で、少し暖かくなった今年2月中旬に退院しました。

頑固でワンマンでヒトの言葉になかなか耳を傾けない人ですが、さすがに今度ばかりは母の多大な協力のもと私のアドバイスを忠実に守り、グルテンフリー、カゼインフリー、砂糖制限をし、ヘルシーパス社のマルチミネラルビタミンのサプリを摂取しています。閉塞血管には石灰化がみられたため、Caと拮抗するマグネシウムもトレースミネラル(にがり)、エプソムソルト(入浴剤)で摂っています。毎日母と二人で作る新鮮な野菜をたっぷり食べ、近海で摂れる魚や時にはお肉も食べ、甘いおやつやつくだ煮などは極力食べずに過ごしています。

暖かくなってきたのも日にち薬にも助けられ、徐々に体力を回復し、筋力もつき、認知機能も回復してきています。少し高めだった血圧も血糖も薬なしで良好。最近は家業の畑仕事に精を出し過ぎて母を心配させるほどです。また、退院後気が立って怒りっぽくなっていた父が穏やかになったと言います。さらに毎日日経新聞を熟読してパソコンで株の売買をささやかな楽しみにしているようです。(これはやめてほしい事ではありますが、体でお金を稼ぐことができなくなった父の、せめてもの社会参加なのだろうと思います。)

医学が踏み込んでくれない予防の領域。これこそが栄養療法の神髄です。ここまで来てしまった状態で、今後どれだけの予防効果、延命効果があるかわかりません。ですが、なにより恐怖におののきながら生きて行くより、自ら取り組むことで予防できる可能性があることが両親の心の支え、励みになっているのです。

何もしなければすぐに死んでしまうような状態から生還させる治療を得意とする西洋医学は、分かりやすく劇的です。でも、栄養療法のような治療は、たとえ劇的な効果が見えないところで起こっていたとしても、効果があったのか、自然の成り行きか、比較するものが見えないため認められにくく、理解してもらうことが困難です。でも、私は、今やっていることが水面下で父に劇的に「効いている」のだと信じています。最後の日まで元気で笑い、働けていることを祈りつつ・・・

栄養療法で免疫向上を

新型コロナウイルスが世の中を席巻していますが、ちょっと視点の違うコロナの話です。

誰もかれもがマスクを着用し、頻回に手をアルコール消毒し、外出や外食を控え、この新しいウイルスを徹底回避しようとしています。けれども、そんな人間たちをあざ笑うかのようにウイルスは未だ勢力を拡大している、とマスコミや専門家は警鐘を鳴らし続けています。

コロナ撲滅のスローガンのもと営業停止で収入を絶たれた人、職を失って路頭に迷い自殺するヒトもいます。コロナの対応と休業補償の為と言って、いったいどれだけの税金が、国債という子孫への借金で投入されているのでしょう?コロナ感染で死にさえしなければ、それでよいのか?と思ってしまいますが、それも致し方ないのでしょうか?

一方、免疫はある程度の外敵にさらされてこそ鍛えられます。また、適度な紫外線を浴びて免疫に深く関与するビタミンDを活性化させることも重要です。子供が目先のウイルスを過度に避け続け、外遊びもせずに成長したら、どこで免疫が鍛えられるのでしょうか?「ヒトを見たらばい菌と思え」的な環境で育つ小児や若者の精神発達も心配です。

人間の体には体の細胞の数をはるかにしのぐ多くのの微生物が生息して、栄養素を作り出したり、外敵と闘ったり、心を落ち着かせる物質を作る手助けをしてくれています。腸管の中の微生物は腸内細菌叢と言って、近年急速に研究が進み注目されています。皮膚の表面にも多くの微生物が住んでいて、皮膚細菌叢と呼ばれていますが、これらも皮膚表面の外敵と闘ってくれているのですよ。アルコールで消毒したら、どうでしょう?常在する良い菌まで死滅してしまい、肌荒れを起こして通常入らない異物の侵入をかえって許してしまいませんかね?水道があるところならば、水洗いくらいにとどめて洗いすぎないほうが良いと私は思います。

83歳の私の父は、「高齢者が新型コロナウイルスに感染すると重症化する。外出を極力控えるように。」と声高に叫ばれ始めたことで不安から抑うつ状態になり、不眠が続き、運動量が減り、挙句の果てに脳梗塞を発症して先日入院しました。本当の話。

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衛生仮説ってご存知ですか?

抗生物質やワクチンが普及する以前、1950年頃までは、インフルエンザによる肺炎や結核などの感染症が死因のトップでした。これらの感染症を予防するために、薬やワクチンの開発だけでなく、衛生環境も格段に整備されました。

その結果、昔の子供と比較すると、現代の子供は環境中の微生物に触れる機会が減少しています。そして、「微生物と接触する機会の減少がアレルギー疾患の原因である」と提唱されたのが衛生仮説です。

下図は腸内細菌でご高名な藤田紘一郎先生の「アレルギーの9割は腸で治る!」のグラフを一部改変したものです。感染症の減少と反比例してアレルギーが増えているのが見て取れます。

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皮膚科の標準治療の中に分子栄養学を・・・

人体の不思議 人間いや動物の体は、細胞の環境を適切に整えれば病気にならずに正しく働くよう、とても精巧に出来ています。細胞の適切な環境とは、必要な栄養素の補充が十分にあり、有害な毒物(重金属やニコチン、細菌、カビ、化学物質など)が排除(解毒排出)される状態をいいます。適正な免疫機能が働いてさえいれば起こりようのない病気が近年どんどん増えているのは、体の細胞の環境が適切でないという事ではないかな?

分子栄養学は、一言でいえば、「細胞の適切な環境」を作るため食事や、急ぐ場合サプリなどで栄養を摂取し、食物を消化吸収できる消化管を保ち、毒物の解毒がスムーズになされるプロセスを分子生物学的に解明し応用する学問です。そして個々の患者さんに合わせて生活習慣の改善、栄養の摂取、デトックスなどを行っていく治療を分子栄養医学、一般に栄養療法と呼んでいます。

西洋医学と栄養療法の違い 従来の西洋医学的対症的治療は、明らかな病気(と西洋医学が認めた症状)に対して行う比較的単純で強力な治療(機能が悪くなった細胞から発生する炎症物質をブロックしたり、ガンなどを切除、細菌をやっつける薬を投与、詰まった血管を再開通させるなど)が得意で、効果がすぐに目に見えて劇的です。「比較的単純」というのは、個体差を考えず、薬や処置だけで症状を消すことができるという意味。それを可能にするため、薬や技術の進歩には著しいものがあります。しかし、残念ながら根本的には治癒しない疾患が少なくなく、治療は医師が主体、患者さんは多くの場合受け身の立場です。

また、病名がつかない、西洋医学的に説明不可能な症状に対しては、患者さんがどんなに消耗していて辛くても、病気として扱ってもらえないという側面もあります。

それに対し栄養療法は・・・

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