食事がつくる発達障害①の5 蛋白、ビタミン、ミネラルを摂るための食事の工夫

現代の食環境では、発達障害のような症状を引き起こす栄養不足が起こりやすくなっています。欠乏しがちな栄養素、タンパク質、ビタミン、ミネラルが納期のの維持に必要不可欠だからです。

その理由は、新型栄養失調。詳しくは2021年6月14日から25日に6回シリーズで書いた当ブログをご参考に。

足りなくなりがちな栄養素を、どうしたらしっかり摂ることができるのか。

最も基本的で大切な事、それは、ゆっくりと食べ物の味と香りを楽しみながら食事をすること。よく噛むこと。

次に、当然のことながら、栄養素を多く含む食材を摂ること。それを正しく消化、吸収する事。実は、食材を摂ることより、消化吸収を正しく行うことの方が難しんです。

そこで、セミナーでは食事の工夫をご紹介しました。

食事がつくる発達障害①の4 成長期と発達障害

子どもの成長曲線
小児のALP基準値

①図のように子供の成長には生後3歳くらいまでの第一次成長期、10歳から18歳くらいの第二次成長期がありますね。ちょうどその時期は、イヤイヤ期、思春期という、いわゆる反抗期と一致しています。これって偶然でしょうか?

②図では小児のALP(アルカリフォスファターゼ)という酵素の基準値のグラフを示しました。このALP、高い山、成長曲線の山とほぼ一致していますね。そして成人の基準値に比べ、子供の基準値が極端に高いことがわかります。

それもそのはず、ALPのお仕事は

エネルギーを作る、骨を作る、神経伝達物質を作るなどの、心身の成長にとって必要不可欠で重要な機能を担う酵素なんです。

ALPの構造

この酵素の主材料はもちろんタンパク質ですが、亜鉛とマグネシウムがないと作れない酵素。

ALPをたくさん作らなければならない成長期には、タンパク質に加え亜鉛、マグネシウムなどのミネラル類もたっくさん消費するってことですね。

そして、それらの栄養素の補充が十分でないと不足しがちになり、前々回のブログでご紹介した神経伝達物質の代謝にトラブルを生じやすい、つまり精神が不安定になりやすい、という事に繋がります。

成長期に必要な栄養素が脳の機能にも大きく影響するってことです。イヤイヤ期に発達障害が顕著になってきたり、思春期にうつ病が起こりやすくなるのもうなづけます。

ってことは、です。それらの栄養素を過不足なく補充することで、発達障害やうつ病の発症を減らすことができそうって、思いませんか?

食事がつくる発達障害①の3  代謝障害と遺伝子トラブル

「代謝」という言葉はよく耳にすると思いますが、正しい意味は?と改めて聞かれると、ん?と思う方多いのではないでしょうか?

「代謝」には、酵素が必須 酵素にはビタミン・ミネラルが必須

生物学的には、自分自身が生きて行くことと、子孫を残すことが生物の最も大事な機能ですが、「代謝」とは、「生体が生命の維持と成長、生殖を可能にするために行っている生化学反応」です。つまりAという物質をB、C、Dと変化させる事。

それには必ず酵素が必要で、多くの酵素はタンパク質とミネラルでできています。酵素が活性化して働けるようになるため、補酵素のビタミンが必要です。

そして、栄養障害とは、必要な栄養素が欠乏することによる代謝のトラブルの事。

つまり、「栄養素」は、体が必要とする「代謝」を正しく行うための「材料」なんですね。

だから、栄養が不足すると必要な代謝のあちこちにトラブルを引き起こし、様々な病気が起こりやすくなるんです。

栄養不足以外に代謝の障害の原因になる要因は何でしょう?大きく分けて、

 ◎遺伝的要因:遺伝子トラブル と 

 ◎後天的要因:環境、毒物、精神ストレス、炎症など  があります。

そもそも遺伝子は、代謝を担う酵素の設計図、料理で言うと「レシピ」です。

遺比較的多くみられる遺伝子トラブルの事を遺伝子多型と言いますが、その中でも

   遺伝子配列の1カ所だけが正常と異なるものをSNPs(スニップス)といいます

   遺伝子多型があると、酵素の働きは正常の3~7割に落ちます。

そしてMTHFRという葉酸代謝酵素の遺伝子のSNPsが発達障害の一因となることがわかっています

メチレーション:重要な働きをする代謝の歯車

やっぱり、発達障害って、遺伝だからどうしようもないじゃないか、と思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。だって、MTHFR遺伝子のSNIPsの保有率は、日本人では70%もあるんですから。

それを説明するのが「エピジェネティクス」という概念です。

•遺伝子が発現するにはそれぞれにスイッチがあり、遺伝子そのものは変わらなくても、遺伝子が働くスイッチの ON、OFFの機能があり、それによって影響の現れ方が変わる、という考え方です。

遺伝子は料理で言うと「レシピ」ですから、レシピが少々違っても、調味料を少し工夫したり、他の材料で代用したり、食卓のインテリアを変えたりすると、それはそれで美味しい料理になる、って事。逆に、レシピは完璧でも材料が不足したり、劣悪な環境で食べると料理はおいしくありません。

これを発達障害に当てはめると、生まれつきの問題があっても、日常生活でできる適切な対策をしていれば、発達障害で見られる多くの症状の改善は可能、遺伝子に異常がなくても栄養や睡眠が不足していたり、生活環境が悪いといわゆる発達障害もどきになるよ、って事ですね。

代謝障害と遺伝子トラブルのお話でした。

食事がつくる発達障害①の2 神経伝達物質と脳機能

発達障害は一般的には脳の機能の障害ととらえられています。

現に、前回ご紹介した成田奈緒子先生の著書にも、脳機能の発達の順序が違うと、発達障害もどきの症状が起こると記されていました。

では、脳の機能が正常とは、いったいどんな状態でしょう?

正常な脳機能

脳は、細長い神経細胞がぎっしり詰まってネットワークを作り、情報を伝達している場所です。情報の伝達は、上流の神経と下流の神経のつなぎ目(シナプス)において、神経伝達物質を受け渡しする事で行われています。

必要な情報が、必要な時に適切に伝達される、つまり脳の機能が正常に作動するには、神経伝達物質がバランスよく作られることが重要で、

神経伝達物質を作るには、必要な栄養素が充足していなければならないのです。

逆に、脳の機能が低下しているとは?

脳機能の低下

神経伝達物質の・材料が不足している状態と・材料を作るために必要な酵素のDNAにトラブルがある状態、です。

さて、どちらの影響が大きいでしょう?

もちろん栄養不足にも程度があるし、遺伝子トラブルにも程度がありますから、どちらとも言えませんが、ただ、言えることは、変えることができない遺伝子トラブルがあっても、環境や食事で症状を変えることができる、という事です。

実は脳は、栄養の影響を最も大きく受ける臓器なんです!

脳内には、抑制系、調節系、興奮系の3つの系列の伝達物質があります。

それぞれの系列のスタートとなるのはアミノ酸(タンパク質が消化されたもの)で、酵素が働いて順々に代謝され、目的の物質を作っているわけです。酵素の主原料もタンパク質ですが、その化学構造の中身はミネラルを含むことが多く、また、酵素が働くためには補酵素であるビタミンも不可欠です。

例えば、調節系の神経伝達物質、別名幸せホルモンと言われている「セロトニン」の代謝を見てみましょう。

調節系伝達物質の代謝

セロトニンが不足すると、不安やこだわりが強い イライラしやすい、怖がり、パニック睡眠が上手く摂れない、などうつのような症状が現れます。実際、最もポピュラーな抗うつ薬の一つはセロトニンの量を増やすように設計されています。

右図のようにセロトニンを作るにはまずスタートとなるトリプトファンというアミノ酸に、鉄、リチウム、マグネシウムなどのミネラル、葉酸、ナイアシン、ビタミンB6というビタミンB群などが不可欠です。何かが欠けると、この代謝の流れがスムーズにいかず、必要なセロトニンを作れず、セロトニンから代謝されてできるはずの、別名眠りのホルモン「メラトニン」も作られなくなるのです。

神経伝達物質のアンバランス

神経伝達物質のアンバランスは、右のような症状を起こしますが、これらの症状が発達障害で見られる精神症状と一致するところが大きいので、

というわけで、一般的には発達障害は脳の障害ととらえられています。

食事がつくる発達障害①の1 「生活リズム」 

去る9月21日、毎月恒例の「ココロとからだセミナー」を開催しました。

テーマは「食事がつくる発達障害」第1話 タンパクとビタミン・ミネラルのお話、だったのですが、栄養の前に知っておきたいことがありました。

それは、最近読んだ、文教大学教授 成田奈緒子先生の「『発達障害』と間違われる子供たち」成田先生は小児科医であり、ずい分以前より「早寝 早起き 朝ごはん」という非常に語呂の良いスローガンを掲げて子供の良好な精神発達を目指す、子供の脳科学の専門家です。

この本には、子供の脳の発達には順序があって、正しい順番に発達させなければならないと書かれています。

体の脳(土台)がしっかりしていると安定
体の脳が育っていないとバランスを崩しやすい

①からだの脳:呼吸・体温調節など、生きて行くために不可欠な脳

②おりこうさん脳:言語・計算・スポーツ等に必要な脳

③心の脳:想像力を働かせる、判断する、など人らしい脳力をつかさどる脳

これがこの順番に育たなければ、何かでバランスを崩すと「発達障害もどき」になる、と言うのです。

そして、からだの脳は、「寝る」「起きる」「食べる」など基本的な生活リズムを身につけることで育つのだそう。そう、「早寝 早起き 朝ごはん」です。

子育ての目標は、立派な原始人を作ること!!!と断言しています。

そして、発達障害かも・・・と言われたら、あるいは思ったら、すべき事

病院に行く前に、生活リズムが整っているかチェック

  ちゃんと食べているか、ちゃんと寝ているか

まずは朝早く起きる➡子供の興味を引くようなもので起こす

勉強を頑張らせ過ぎない(睡眠時間を削らない)

それを実行しても、なお改善しなければ初めて、病院へ・・・と書かれていました。

「発達障害もどき」とは、発達障害が、子供の行動のチェックリストなどで比較的安易に診断され、投薬されたりしてしまうことがある現状において、まず生活リズムが大事と訴える成田先生の苦肉の「造語」なのです。

これ、食事内容以前の最も大切な事ですね。それを無視して食事の話をするわけにはいかん、と思い、セミナーの初めの時間を結構割いて、成田先生の本の内容をご紹介しました。

そしてさらに、私は「ちゃんと食べる」に、「何をどのように食べる?」を加えると、「発達障害もどき」がもっと減るはず!と思っているのです。

本題は、次回から・・・・