食事がつくる発達障害③の2 ストレス

ストレスも腸内環境に大きな影響を及ぼします。ストレスというと、心理的ストレスを指すことが多いですが、ここで言うストレスは肉体的ストレスも含みます。すなわち、暑さ寒さやその変化、体の炎症、過度な運動や喫煙などです。

野生動物や、おそらく古代のヒトのストレスは、天敵に追いかけられるとか戦う事だったり事故や災害に見舞われることで、生死に関わる急激なストレス。生き延びればストレスは去り、獲物の獲得や逃げおおせた後の安らぎにかわります。生き延びられなければ命とともにストレスはなくなります。

ところが、現代に生きる私たちには、天敵に追いかけられることも生死にかかわる事象もめったに起きません。その代わり、人間関係に悩むとか、過度な仕事に追われるなど、死なない程度のストレスに慢性的にさらされている人がほとんどですよね。

子供の世界でも、同じ。友達関係、親子関係(虐待や強制)、生活環境(生活リズムの乱れ)などの大小のストレスが慢性化すると・・・・

ストレスホルモン全開で頑張った末、自律神経が乱れ、血糖値も乱れ、消化機能が落ちて腸内環境が乱れます。そして脳内物質に必要な栄養素も枯渇して、脳機能が著しく低下するのです。

発達障害には、やはりストレスも大きな原因になるんですね。

食事がつくる発達障害③の2 医薬品の乱用

腸内環境悪化の原因 その5 医薬品の乱用

皆さんが比較的よく処方されるお薬に、腸内環境を悪化させるものが結構あります。

腸内細菌叢の乱れは万病の元ですよ~

その代表

①胃酸抑制薬 H2ブロッカーやプロトンポンプインヒビター(PPI)

胃酸は蛋白質の消化、ミネラルやビタミンB12の吸収に不可欠ですが、食べ物に含まれる有害微生物を強い酸で殺菌する働きも担っています。胃潰瘍や逆流性食道炎に非常によく使用される薬剤ですが、特にPPIは胃酸をほぼ完全に出なくしてしまって、本来の胃酸の機能が行えなくなる弊害の強いお薬です。腸内環境への影響で言えば、胃酸で殺菌し切れなかった細菌は本来侵入すべきでない腸に運ばれ、腸内細菌の陣地を犯します。

逆流性食道炎は食事内容や生活習慣、時にピロリ菌の影響を受ける可能性のある疾患ですが、根本解決されることなく漫然と長期にPPIが投与されていることが多いのが現状です。たかが胃薬と思って患者さんはもちろん残念ながら医師も、気軽に続けていることもよくあります。

②痛み止め

  腰痛や関節痛など、慢性の痛みに対し、長期にわたり投与されると、腸内細菌や腸粘膜の粘液にダメージを与えます。運動不足や姿勢が原因の痛みではないですか?痛みは、身体の悲鳴ですよ。根本解決しないで鎮痛剤に頼っていないでしょうか?

③抗生物質

細菌感染に対し、やむを得ず使用されるものですので、致し方ないのですが、抗生剤の腸内細菌に対するダメージは甚大です。日頃から免疫をあげて感染症に罹らないよう、また、適切な使用を心がけましょう。

その他、腸内環境に影響を与えうる薬剤には、ステロイド、抗うつ薬、糖尿病治療薬、降圧剤、コレステロール降下薬、経口避妊薬、ホルモン補充薬など数多くのものがあります。

すでに病気をお持ちで必要不可欠なものもあると思います。もちろん勝手に中止してはいけませんが、もしも運動や睡眠、食事などの生活習慣の改善によって減量または不要になる可能性のあるお薬があるならば、腸内細菌を乱す原因になり得るお薬を少しでも減らすことが、さらなる病気を引き起こさないために、非常に重要です!!

ご自分が投与されているお薬、目的や作用をご自分で把握しておきましょう!

食事がつくる発達障害③の2 過剰な清潔志向

腸内環境悪化の原因 その4 過剰な清潔志向

もともと日本人は清潔好き。世の中抗菌・抗ウイルスグッズであふれています。

除菌、消臭、殺菌はルームスプレーやトイレの芳香剤、洗濯洗剤や柔軟剤、お掃除グッズ、あらゆる場面で使用されているのが当たり前の風景。特にコロナ禍以後、ますますマスクや手のアルコール消毒が津々浦々に浸透しました。

でも、ちょっと待ってください。その除菌、抗ウイルスが、腸内細菌にダメージを与えるって、ご存知ですか?

腸内細菌にダメージを与えるという事は、腸内環境を乱して、発達障害にも影響を与える可能性が高いという事に繋がります。 

実は、生物の身体には長ーい長ーい地球の歴史とともに先住者である細菌やウイルスなどの微生物と共生して生きる機能が内蔵されています。その代表が腸内細菌。多種多様な腸内細菌の集まりは腸内細菌叢や腸内フローラとも呼ばれます。同様の細菌叢は、腸以外で外界と接する皮膚や粘膜(気管や肺の粘膜、膣など)にも存在し、身体にとって有害な微生物が定着するのを身体を張って防ぐことで、私たちの身体を守ってくれていることがわかっています。

抗菌グッズたちは、有害な微生物とともに、私たちの身体に必要不可欠な腸内細菌にまでダメージを与えます。腸内細菌がダメージを受けると、腸内環境が悪化し、自律神経やホルモン、などを介し脳に多大な影響を与えます。つまり、思考力、判断力、認知機能などが影響を受けかねないという事です。当然、認知症や発達障害とも無関係ではいられませんね。

また有害な微生物を攻撃する身体のシステムが「免疫」です。細菌叢が存在する皮膚や粘膜では、多くの免疫細胞が待機していて、常時有害微生物の侵入に目を光らせ、侵入を未然に防いでくれているはずです。

つまり、皮膚や粘膜の細菌叢はそれぞれに陣地をはって外敵が定着するのを防ぎ、万一侵入しそうになったら免疫細胞が攻撃してくれているんです。

もしも、国をまもってくれる自衛隊が毎日の訓練を怠って、休憩していたらどうなるでしょう?実際に敵が侵入してきたとき、実働部隊は素早く対応することができるでしょうか?

「常時多少の有害微生物の侵入」があることこそが、免疫細胞の「訓練」になっていることをご存知でしょうか?人との接触を避けて抗菌グッズを使いまくり、マスクで病原体の侵入を防ぎ続け、消毒をし続けるという事は、陣地をはって敵の侵入を妨害してくれる細菌叢を壊し、免疫細胞に「訓練」のチャンスを与えず、自ら敵に立ち向かう免疫力を落とし続けていることに他ならないのです。コロナ禍以後そうした生活を強いられた私たち、みんなの免疫が低下している証拠に、かつてないほどのインフルエンザその他の感染症の流行が子供を中心に問題になっています。

感染症科の医師は、有害微生物の専門家ですが、感染症の予防には微生物を避けることしか提案してくれず、免疫を育てることは一切教えてくれません。彼らがこんな本を見てどう思うのか、わかりませんが・・・

さあ、今日から、偏ったテレビの報道に惑わされず、適度な不衛生で、免疫を鍛えましょう!!

適度な不潔が免疫を育てる。 – bihada kokoro eiyo (i-vitaminheart.info) 2021年8月の当ブログの記事です・・・

※本当に恐ろしい微生物の流行なのかどうか、回避し続けるべき時期なのか、利権や権威に左右されず、国民の健康、幸せを本当に考えた政策・報道を行ってくれる日本になってほしいと切に願います。

食事がつくる発達障害③の2 消化不良

 腸内環境悪化の原因 その1 消化不良

発達障害に限らず、腸の状態を良好にすることは万病の予防に繋がります。その第一歩は食べた食材をしっかりと消化させることです!

消化不良とは、食べた食材が消化器官で吸収できる形まで分解できない状態のこと。意外と現代人の多くは知らず知らずのうちに消化能力が低下していますので、他人ごとではないんですよ!

私たちは、食材を口からいただいて、咀嚼し、飲み込んで、胃⇒十二指腸⇒小腸⇒大腸へと送ります。その過程で消化液が消化管内に分泌され、吸収できる形分解することで初めて栄養素として体内に取り込むことができます。それができないとどうなるか?

食材は植物や動物、つまり生物のボディです。これが完全に消化されれば立派な栄養素として私たちのボディを作ったり、機能を働かせたりしてくれますが、未消化だと「自分以外の生物のボディ」。腸の中で腐敗してしまったり、「異物」だと認識して、腸で待機する免疫細胞が攻撃します。免疫細胞の攻撃はすなわち「炎症」です。腸が炎症を起こす原因になってしまうのです。

消化不良の原因

•消化酵素の材料=たんぱく質の不足。                 

胃酸不足で消化酵素の活性が低下。                   

ピロリ菌で胃炎➡胃酸・消化酵素の低下を招く

小麦と乳製品は消化不良の原因に

・小麦の「グルテン」、乳製品の「αカゼイン」はヒトの消化液では難消化        

・アミノ酸配列がモルヒネと酷似⇒依存性

自閉症、統合失調症へのグルテンフリー・カゼインフリー食(GFCF食)

 の有効性を報告する研究論文が多数存在する

では、「消化」を促進するにはどうしたら良いのでしょう?

①よく噛んで食べる。できれば一口30回以上。

②特にタンパク質の消化が難しいので、タンパクの消化を促すため、胃酸の代わりに胃内のpHを下げてくれる酢やレモンを一緒に摂る。

③細胞内に消化酵素を持っている植物のすりおろしたものを一緒に食べる。(大根おろしや玉ねぎおろし、スムージーなど)

④お肉の下味に塩こうじを活用する。

⑤消化酵素を飲む。

⑥リラックスして楽しく食べる。    などです。

食事がつくる発達障害③の1 腸と脳

今泉栄養療法クリニックで開催した11月16日のセミナー、テーマは「腸と脳」

腸内環境の悪化は万病の元。「万病」の中には当然脳の病気、そして発達障害も含まれる、とお聞きなったら、驚きますか?

このブログを読んでい下さっている方は、多分、そう驚かないかもしれませんが、実は発達障害の子供も大人も大多数の方は腸の問題を抱えているんです。

発達障害の人に多い腸の症状の特徴

・慢性の便秘・下痢または便秘下痢を交互に繰り返す
・腹痛
・お腹を下すことがよくある
・ストレスの影響を受けやすい

これら腸の症状は、発達障害の方特有の、感覚過敏、認知のゆがみ、感情コントロールが苦手などの特性に由来することが考えられます。

脳腸相関と言う概念があります。脳と腸が神経伝達物質やホルモンなどを介して密接につながってお互い影響を与え合うという身体のしくみです。

例えば、幸せホルモンの一つセロトニンは腸で作られ、副交感神経を刺激して腸の動きを活発にし、夜間には眠りのホルモン(メラトニン)の材料になります。快楽を感じるやる気のホルモン(ドーパミン)、ストレスホルモン(ノルアドレナリン)は腸で分泌され、交感神経を刺激し、脳へ信号を送って感情に影響を与えます。そして、その「感情」がまた自律神経を介して、腸の動きや機能に影響を与えます。

つまり、脳の機能障害とされる発達障害は腸の影響も受けているってこと。腸の状態が良いかどうか、がすごく重要で、それは、いいうんちをするかどうか、でおおむねわかります。

あなたのうんちはいいうんちですか?

では、いいうんちを毎日出すためには、どうしたら良いのでしょうか?

答えは、次に・・・

食事がつくる発達障害② 低血糖

去る10月19日に開催した当院のセミナーは、発達障害第2弾 砂糖と血糖の話です。

タイトルは発達障害ですが、大人にも当てはまる血糖と脳機能、情緒への影響をお話しました。子供は、もといヒトはなぜ砂糖(甘いもの)を欲するのか。なぜ、カフェインを欲するのか・・・

セミナーでは低血糖の定義と病態をお話しましたが、その詳細は、2022年1月26日「「低血糖症」って「糖尿病」の逆ではないんです」というタイトルの投稿をご覧ください。

今回のセミナーでは、低血糖に伴うホルモンの作動が、精神状態(子供ではかんしゃくや夜泣き)や消化機能に影響し、発達障害様の症状の一因になり得るという観点でお話しましたが、それは、大人においても脳の機能、情緒の乱れという形で現れます。

そしてその対策については、2022年2月6日の投稿「低血糖症の対策「補食」」にも書いていますのでご参考にして下さい。単なる「おやつ」と「補食」のちがいを理解すること,

自分にとって最適な補食の量と食材、タイミングが重要です。以下、セミナーのポイントをご紹介します。

子供の機嫌が悪いときは・・・

◆まず低血糖を疑おう(実は、大人が疲れたとき、イライラするときも同じ。)
◆まずは補食させ、自分も補食してから子供と向き合う                      「オー低血糖来たな~」という目で見てあげると、落ち着いて対処できます。
◆親子で補食してから家事をする

子供を不調にするおやつ

◆チョコレート、ケーキ、ポテトチップス、キャンディー、アイスクリームなど…
  ⇒このようなおやつを毎日食べている子どもは、
   アトピーや喘息、発達障害などに悩むことが多いというデータも…

子供を元気にするおやつ

◆ ゆで卵、野菜チップス、ナッツ類、豆乳と果物のスムージー、煮干し、ポタージュスープなど…
◆ 糖質系なら
  おにぎり、さつまいも、じゃがいも、とうもろこしなど…
  ⇒食物繊維やビタミンも補うことができる!
 おやつ(補食)は成長に必要な栄養素を分食して摂るのが目的であり                甘いものを食べて喜ばせることが目的ではない!!

どうしてもチョコレートやケーキを食べたいとき
  ⇒先にゆで卵やチーズ、ちくわなどのタンパク質を摂取
   糖質の吸収が穏やかに&食べ過ぎ防止に!

外出時の対策

◆ 水に蜂蜜を溶かしたドリンク(ビタミンCの粉末を入れておくとビタミンCの補給にも)
◆ 甘栗や干し芋、ミニおにぎりを小分けにして携帯しておく
◆ アミノ酸サプリ
◆ MCTオイル

自分の栄養管理とリラックスで余裕をもって家族に接するための「自分ファースト」
それは「自分勝手」とは違います!

お子様のみならず、ご自身や家族、職場の同僚のイライラ対策にぜひ・・・
 食事に出し粉、MCTオイルをふんだんに使ってみましょう!
 低血糖対策(補食を携帯・摂取する)を実行してみましょう!

食事がつくる発達障害①の5 蛋白、ビタミン、ミネラルを摂るための食事の工夫

現代の食環境では、発達障害のような症状を引き起こす栄養不足が起こりやすくなっています。欠乏しがちな栄養素、タンパク質、ビタミン、ミネラルが納期のの維持に必要不可欠だからです。

その理由は、新型栄養失調。詳しくは2021年6月14日から25日に6回シリーズで書いた当ブログをご参考に。

足りなくなりがちな栄養素を、どうしたらしっかり摂ることができるのか。

最も基本的で大切な事、それは、ゆっくりと食べ物の味と香りを楽しみながら食事をすること。よく噛むこと。

次に、当然のことながら、栄養素を多く含む食材を摂ること。それを正しく消化、吸収する事。実は、食材を摂ることより、消化吸収を正しく行うことの方が難しんです。

そこで、セミナーでは食事の工夫をご紹介しました。

食事がつくる発達障害①の4 成長期と発達障害

子どもの成長曲線
小児のALP基準値

①図のように子供の成長には生後3歳くらいまでの第一次成長期、10歳から18歳くらいの第二次成長期がありますね。ちょうどその時期は、イヤイヤ期、思春期という、いわゆる反抗期と一致しています。これって偶然でしょうか?

②図では小児のALP(アルカリフォスファターゼ)という酵素の基準値のグラフを示しました。このALP、高い山、成長曲線の山とほぼ一致していますね。そして成人の基準値に比べ、子供の基準値が極端に高いことがわかります。

それもそのはず、ALPのお仕事は

エネルギーを作る、骨を作る、神経伝達物質を作るなどの、心身の成長にとって必要不可欠で重要な機能を担う酵素なんです。

ALPの構造

この酵素の主材料はもちろんタンパク質ですが、亜鉛とマグネシウムがないと作れない酵素。

ALPをたくさん作らなければならない成長期には、タンパク質に加え亜鉛、マグネシウムなどのミネラル類もたっくさん消費するってことですね。

そして、それらの栄養素の補充が十分でないと不足しがちになり、前々回のブログでご紹介した神経伝達物質の代謝にトラブルを生じやすい、つまり精神が不安定になりやすい、という事に繋がります。

成長期に必要な栄養素が脳の機能にも大きく影響するってことです。イヤイヤ期に発達障害が顕著になってきたり、思春期にうつ病が起こりやすくなるのもうなづけます。

ってことは、です。それらの栄養素を過不足なく補充することで、発達障害やうつ病の発症を減らすことができそうって、思いませんか?

食事がつくる発達障害①の3  代謝障害と遺伝子トラブル

「代謝」という言葉はよく耳にすると思いますが、正しい意味は?と改めて聞かれると、ん?と思う方多いのではないでしょうか?

「代謝」には、酵素が必須 酵素にはビタミン・ミネラルが必須

生物学的には、自分自身が生きて行くことと、子孫を残すことが生物の最も大事な機能ですが、「代謝」とは、「生体が生命の維持と成長、生殖を可能にするために行っている生化学反応」です。つまりAという物質をB、C、Dと変化させる事。

それには必ず酵素が必要で、多くの酵素はタンパク質とミネラルでできています。酵素が活性化して働けるようになるため、補酵素のビタミンが必要です。

そして、栄養障害とは、必要な栄養素が欠乏することによる代謝のトラブルの事。

つまり、「栄養素」は、体が必要とする「代謝」を正しく行うための「材料」なんですね。

だから、栄養が不足すると必要な代謝のあちこちにトラブルを引き起こし、様々な病気が起こりやすくなるんです。

栄養不足以外に代謝の障害の原因になる要因は何でしょう?大きく分けて、

 ◎遺伝的要因:遺伝子トラブル と 

 ◎後天的要因:環境、毒物、精神ストレス、炎症など  があります。

そもそも遺伝子は、代謝を担う酵素の設計図、料理で言うと「レシピ」です。

遺比較的多くみられる遺伝子トラブルの事を遺伝子多型と言いますが、その中でも

   遺伝子配列の1カ所だけが正常と異なるものをSNPs(スニップス)といいます

   遺伝子多型があると、酵素の働きは正常の3~7割に落ちます。

そしてMTHFRという葉酸代謝酵素の遺伝子のSNPsが発達障害の一因となることがわかっています

メチレーション:重要な働きをする代謝の歯車

やっぱり、発達障害って、遺伝だからどうしようもないじゃないか、と思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。だって、MTHFR遺伝子のSNIPsの保有率は、日本人では70%もあるんですから。

それを説明するのが「エピジェネティクス」という概念です。

•遺伝子が発現するにはそれぞれにスイッチがあり、遺伝子そのものは変わらなくても、遺伝子が働くスイッチの ON、OFFの機能があり、それによって影響の現れ方が変わる、という考え方です。

遺伝子は料理で言うと「レシピ」ですから、レシピが少々違っても、調味料を少し工夫したり、他の材料で代用したり、食卓のインテリアを変えたりすると、それはそれで美味しい料理になる、って事。逆に、レシピは完璧でも材料が不足したり、劣悪な環境で食べると料理はおいしくありません。

これを発達障害に当てはめると、生まれつきの問題があっても、日常生活でできる適切な対策をしていれば、発達障害で見られる多くの症状の改善は可能、遺伝子に異常がなくても栄養や睡眠が不足していたり、生活環境が悪いといわゆる発達障害もどきになるよ、って事ですね。

代謝障害と遺伝子トラブルのお話でした。

食事がつくる発達障害①の2 神経伝達物質と脳機能

発達障害は一般的には脳の機能の障害ととらえられています。

現に、前回ご紹介した成田奈緒子先生の著書にも、脳機能の発達の順序が違うと、発達障害もどきの症状が起こると記されていました。

では、脳の機能が正常とは、いったいどんな状態でしょう?

正常な脳機能

脳は、細長い神経細胞がぎっしり詰まってネットワークを作り、情報を伝達している場所です。情報の伝達は、上流の神経と下流の神経のつなぎ目(シナプス)において、神経伝達物質を受け渡しする事で行われています。

必要な情報が、必要な時に適切に伝達される、つまり脳の機能が正常に作動するには、神経伝達物質がバランスよく作られることが重要で、

神経伝達物質を作るには、必要な栄養素が充足していなければならないのです。

逆に、脳の機能が低下しているとは?

脳機能の低下

神経伝達物質の・材料が不足している状態と・材料を作るために必要な酵素のDNAにトラブルがある状態、です。

さて、どちらの影響が大きいでしょう?

もちろん栄養不足にも程度があるし、遺伝子トラブルにも程度がありますから、どちらとも言えませんが、ただ、言えることは、変えることができない遺伝子トラブルがあっても、環境や食事で症状を変えることができる、という事です。

実は脳は、栄養の影響を最も大きく受ける臓器なんです!

脳内には、抑制系、調節系、興奮系の3つの系列の伝達物質があります。

それぞれの系列のスタートとなるのはアミノ酸(タンパク質が消化されたもの)で、酵素が働いて順々に代謝され、目的の物質を作っているわけです。酵素の主原料もタンパク質ですが、その化学構造の中身はミネラルを含むことが多く、また、酵素が働くためには補酵素であるビタミンも不可欠です。

例えば、調節系の神経伝達物質、別名幸せホルモンと言われている「セロトニン」の代謝を見てみましょう。

調節系伝達物質の代謝

セロトニンが不足すると、不安やこだわりが強い イライラしやすい、怖がり、パニック睡眠が上手く摂れない、などうつのような症状が現れます。実際、最もポピュラーな抗うつ薬の一つはセロトニンの量を増やすように設計されています。

右図のようにセロトニンを作るにはまずスタートとなるトリプトファンというアミノ酸に、鉄、リチウム、マグネシウムなどのミネラル、葉酸、ナイアシン、ビタミンB6というビタミンB群などが不可欠です。何かが欠けると、この代謝の流れがスムーズにいかず、必要なセロトニンを作れず、セロトニンから代謝されてできるはずの、別名眠りのホルモン「メラトニン」も作られなくなるのです。

神経伝達物質のアンバランス

神経伝達物質のアンバランスは、右のような症状を起こしますが、これらの症状が発達障害で見られる精神症状と一致するところが大きいので、

というわけで、一般的には発達障害は脳の障害ととらえられています。