食事がつくる発達障害③の2 消化不良

 腸内環境悪化の原因 その1 消化不良

発達障害に限らず、腸の状態を良好にすることは万病の予防に繋がります。その第一歩は食べた食材をしっかりと消化させることです!

消化不良とは、食べた食材が消化器官で吸収できる形まで分解できない状態のこと。意外と現代人の多くは知らず知らずのうちに消化能力が低下していますので、他人ごとではないんですよ!

私たちは、食材を口からいただいて、咀嚼し、飲み込んで、胃⇒十二指腸⇒小腸⇒大腸へと送ります。その過程で消化液が消化管内に分泌され、吸収できる形分解することで初めて栄養素として体内に取り込むことができます。それができないとどうなるか?

食材は植物や動物、つまり生物のボディです。これが完全に消化されれば立派な栄養素として私たちのボディを作ったり、機能を働かせたりしてくれますが、未消化だと「自分以外の生物のボディ」。腸の中で腐敗してしまったり、「異物」だと認識して、腸で待機する免疫細胞が攻撃します。免疫細胞の攻撃はすなわち「炎症」です。腸が炎症を起こす原因になってしまうのです。

消化不良の原因

•消化酵素の材料=たんぱく質の不足。                 

胃酸不足で消化酵素の活性が低下。                   

ピロリ菌で胃炎➡胃酸・消化酵素の低下を招く

小麦と乳製品は消化不良の原因に

・小麦の「グルテン」、乳製品の「αカゼイン」はヒトの消化液では難消化        

・アミノ酸配列がモルヒネと酷似⇒依存性

自閉症、統合失調症へのグルテンフリー・カゼインフリー食(GFCF食)

 の有効性を報告する研究論文が多数存在する

では、「消化」を促進するにはどうしたら良いのでしょう?

①よく噛んで食べる。できれば一口30回以上。

②特にタンパク質の消化が難しいので、タンパクの消化を促すため、胃酸の代わりに胃内のpHを下げてくれる酢やレモンを一緒に摂る。

③細胞内に消化酵素を持っている植物のすりおろしたものを一緒に食べる。(大根おろしや玉ねぎおろし、スムージーなど)

④お肉の下味に塩こうじを活用する。

⑤消化酵素を飲む。

⑥リラックスして楽しく食べる。    などです。

食事がつくる発達障害①の3  代謝障害と遺伝子トラブル

「代謝」という言葉はよく耳にすると思いますが、正しい意味は?と改めて聞かれると、ん?と思う方多いのではないでしょうか?

「代謝」には、酵素が必須 酵素にはビタミン・ミネラルが必須

生物学的には、自分自身が生きて行くことと、子孫を残すことが生物の最も大事な機能ですが、「代謝」とは、「生体が生命の維持と成長、生殖を可能にするために行っている生化学反応」です。つまりAという物質をB、C、Dと変化させる事。

それには必ず酵素が必要で、多くの酵素はタンパク質とミネラルでできています。酵素が活性化して働けるようになるため、補酵素のビタミンが必要です。

そして、栄養障害とは、必要な栄養素が欠乏することによる代謝のトラブルの事。

つまり、「栄養素」は、体が必要とする「代謝」を正しく行うための「材料」なんですね。

だから、栄養が不足すると必要な代謝のあちこちにトラブルを引き起こし、様々な病気が起こりやすくなるんです。

栄養不足以外に代謝の障害の原因になる要因は何でしょう?大きく分けて、

 ◎遺伝的要因:遺伝子トラブル と 

 ◎後天的要因:環境、毒物、精神ストレス、炎症など  があります。

そもそも遺伝子は、代謝を担う酵素の設計図、料理で言うと「レシピ」です。

遺比較的多くみられる遺伝子トラブルの事を遺伝子多型と言いますが、その中でも

   遺伝子配列の1カ所だけが正常と異なるものをSNPs(スニップス)といいます

   遺伝子多型があると、酵素の働きは正常の3~7割に落ちます。

そしてMTHFRという葉酸代謝酵素の遺伝子のSNPsが発達障害の一因となることがわかっています

メチレーション:重要な働きをする代謝の歯車

やっぱり、発達障害って、遺伝だからどうしようもないじゃないか、と思うかもしれませんが、全くそんなことはありません。だって、MTHFR遺伝子のSNIPsの保有率は、日本人では70%もあるんですから。

それを説明するのが「エピジェネティクス」という概念です。

•遺伝子が発現するにはそれぞれにスイッチがあり、遺伝子そのものは変わらなくても、遺伝子が働くスイッチの ON、OFFの機能があり、それによって影響の現れ方が変わる、という考え方です。

遺伝子は料理で言うと「レシピ」ですから、レシピが少々違っても、調味料を少し工夫したり、他の材料で代用したり、食卓のインテリアを変えたりすると、それはそれで美味しい料理になる、って事。逆に、レシピは完璧でも材料が不足したり、劣悪な環境で食べると料理はおいしくありません。

これを発達障害に当てはめると、生まれつきの問題があっても、日常生活でできる適切な対策をしていれば、発達障害で見られる多くの症状の改善は可能、遺伝子に異常がなくても栄養や睡眠が不足していたり、生活環境が悪いといわゆる発達障害もどきになるよ、って事ですね。

代謝障害と遺伝子トラブルのお話でした。

皮膚科の標準治療の中に分子栄養学を・・・

人体の不思議 人間いや動物の体は、細胞の環境を適切に整えれば病気にならずに正しく働くよう、とても精巧に出来ています。細胞の適切な環境とは、必要な栄養素の補充が十分にあり、有害な毒物(重金属やニコチン、細菌、カビ、化学物質など)が排除(解毒排出)される状態をいいます。適正な免疫機能が働いてさえいれば起こりようのない病気が近年どんどん増えているのは、体の細胞の環境が適切でないという事ではないかな?

分子栄養学は、一言でいえば、「細胞の適切な環境」を作るため食事や、急ぐ場合サプリなどで栄養を摂取し、食物を消化吸収できる消化管を保ち、毒物の解毒がスムーズになされるプロセスを分子生物学的に解明し応用する学問です。そして個々の患者さんに合わせて生活習慣の改善、栄養の摂取、デトックスなどを行っていく治療を分子栄養医学、一般に栄養療法と呼んでいます。

西洋医学と栄養療法の違い 従来の西洋医学的対症的治療は、明らかな病気(と西洋医学が認めた症状)に対して行う比較的単純で強力な治療(機能が悪くなった細胞から発生する炎症物質をブロックしたり、ガンなどを切除、細菌をやっつける薬を投与、詰まった血管を再開通させるなど)が得意で、効果がすぐに目に見えて劇的です。「比較的単純」というのは、個体差を考えず、薬や処置だけで症状を消すことができるという意味。それを可能にするため、薬や技術の進歩には著しいものがあります。しかし、残念ながら根本的には治癒しない疾患が少なくなく、治療は医師が主体、患者さんは多くの場合受け身の立場です。

また、病名がつかない、西洋医学的に説明不可能な症状に対しては、患者さんがどんなに消耗していて辛くても、病気として扱ってもらえないという側面もあります。

それに対し栄養療法は・・・

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アトピー性皮膚炎の治療の歴史

なぜアトピー性皮膚炎を最初に語るのか?それは、アトピーの歴史と治療の現状を語る事が、大げさに言えば日本の皮膚科医療の現状を考える上で重要で、私の人生を変えた大きな原動力になったきっかけの一つでもあるからです。「アトピー性皮膚炎を根本的に体質から治したい。」これが、私が病院勤務医をやめてブログを書き始めた大きな原動力の一つです。

「アトピー性皮膚炎は体質だから治らない。一生薬がやめられない。」そう思っておられる患者さんとともに、大げさですが、アトピーで困らない世界を作りたいと思っています。

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