トランス脂肪酸

デジタル毒が海外では規制されているのに日本では野放し、というお話をしました。

害があるとして海外では規制されているのにこの国では野放しとなっている「先輩」がいます。「トランス脂肪酸」です。

トランス脂肪酸とは不飽和脂肪酸(主に液体の植物性油脂)に水素添加して常温で固体になるよう加工された油、工業的油脂です。マーガリンやショートニングなどがこれにあたります。安価なスナック菓子やパンのほとんど、フライドポテト、お惣菜の揚げ物や加工食品、サラダ油などありとあらゆるものに使用されています。バターなどに比べ安価で酸化しにくい(日持ちする)ためです。

しかも注意が必要なのは、原材料名に「トランス脂肪酸」とは書かれていない事です。マーガリンやショートニングと書かれていればまだわかりますが、たいていは「植物油脂」など分かりにくい表記となっています。

脂質は多くの臓器や細胞膜の原材料となる重要な栄養素です。細胞膜を構成する脂肪酸は、口から摂取したそのままの脂肪酸が使われるのですが、不自然なトランス脂肪酸が取り込まれた細胞は、その細胞の機能が悪くなり、免疫細胞からは異物と認識されます。

そのため、炎症を引き起こしやすく、脳血管障害、自己免疫やアレルギー、心疾患、うつ、認知症、ガンなどとの関連などが報告されています。脳の細胞には脂質が豊富です。子供の脳の発達に影響する可能性も指摘されています。

トランス脂肪酸の危険性が判明するやいなや、・・・

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デジタル毒

電磁波の害がひそかに言われつつあります。欧米では国レベルで何らかの規制がなされているところが多いですが、日本では規制どころかまだまだ一般に知らされてもいません。5G時代に突入して電磁波の被ばく量がけた違いに多くなる時代が来ているというのに、です。

今回は、敬愛する内山葉子先生の「デジタル毒」をご紹介します。

内山先生は、有害な電磁波を「デジタル毒」と名付けてこの本を書れています。デジタル毒は①酵素のはたらきを阻害することで様々な生理機能を障害する。②ホルモンに影響を与える。③腸内細菌叢へのダメージ。④ミトコンドリア(エネルギーを作る)機能を障害する。⑤自己免疫の異常。などの多くの弊害があります。

それゆえ、デジタル毒がもたらす症状は多岐にわたり、頭痛、肩こり、めまい、不眠、イライラ、目の疲れ、慢性疲労といった不定愁訴的なものから、関節痛、認知症、月経異常、不整脈、てんかん、糖尿病、アレルギー、肥満、ガンなどありとあらゆる疾患との関連も言われています。中でも特に小児の脳の発達に影響を与えることが懸念されます。小児の脳は発達が著しいことに加え、頭蓋骨は小さくて薄く、電磁波が深部に浸透しやすいからです。

電磁波の害は言葉では分かっていたつもりでしたが、お恥ずかしながら自分のこととはあまり考えていませんでした。しかし、電磁波を意識して自分の体調が劇的に改善するきっかけとなった出来事を体験したのでシェアしたいと思います。

このブログをきちんと書き始めたのは、勤務医を退職した直後からですが、退職直後は疲弊して朝起きるのも家事をするのもつらい状態でした。

栄養療法的に言う「副腎疲労」の状態であることは、検査データ上も明らかで、病院勤務医時代はアドレナリンで鼓舞し、体に鞭打って働いていたので、仕事を辞めて気が抜けて疲れがどっと出たのだなと思っていました。

実際その側面は否めませんが、2か月経ってもますます異常な肩こりと倦怠感が続き、頭のはたらきも鈍くなって気力もわかなくなってしまいました。

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栄養療法の保険診療での試み

医学部教育 患者さんに「食べ物は関係ありますか?」と尋ねられたとき、特に食習慣との関連が言われれていない疾患では、医師は「何でも食べてください。」とか、よくて「バランスよく食べましょう」と答えるのが極めて普通で「お菓子や甘いものは控えめに」と言えば上等です。皮膚科では、近頃は患者さん側からそう聞かれる頻度も減っているように思います。病気は薬で治すものという認識が強くなっているのです。最近やっと特に食習慣と関わりの深い生活習慣病に対する管理栄養士の栄養指導に保険点数が付くようになったところです。

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日本の医学部では「栄養」やそれと関連して疾患を考える授業などほんのちょっぴりです。「栄養」と言えば極端な欠乏症、「食物」と言えばアレルギーを起こす食べ物を除去する事しか教わらないのです。通常の医療が「食」を軽視して薬剤に頼るのも無理からぬことでしょう。余談ですが、日本では「医療」の下に「栄養」があるとイメージされ、栄養士さんの地位は医師の下のように思われているのが現状ですが、アメリカでは栄養士さんは医師と同等の地位と権利を持っていると言っても過言ではないようですよ。

食事調査 急性期病院の皮膚科には、「急性疾患」はもちろんですが、アトピー性皮膚炎に限らず、難治な慢性の皮膚疾患患者さんが次々と紹介されてきます。栄養療法を学びはじめた私は、慢性疾患の多くは免疫異常と関連があり、患者さんのほとんどが栄養療法の適応になると感じ始めました。そこで、治療に少しでも躓いているほぼすべての患者さんに日ごろの食事内容を尋ねるようになりました。わかったことは、皮膚疾患の治療に難渋する人の多くが、糖質過多、蛋白・野菜不足の食習慣であるという事でした。そこでほとんどの患者さんに、糖質を控えてタンパク質と野菜を積極的に食べる事、という指導を始めました。すると原因不明の慢性疾患が改善することが少なくはないのです。

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皮膚科の標準治療の中に分子栄養学を・・・

人体の不思議 人間いや動物の体は、細胞の環境を適切に整えれば病気にならずに正しく働くよう、とても精巧に出来ています。細胞の適切な環境とは、必要な栄養素の補充が十分にあり、有害な毒物(重金属やニコチン、細菌、カビ、化学物質など)が排除(解毒排出)される状態をいいます。適正な免疫機能が働いてさえいれば起こりようのない病気が近年どんどん増えているのは、体の細胞の環境が適切でないという事ではないかな?

分子栄養学は、一言でいえば、「細胞の適切な環境」を作るため食事や、急ぐ場合サプリなどで栄養を摂取し、食物を消化吸収できる消化管を保ち、毒物の解毒がスムーズになされるプロセスを分子生物学的に解明し応用する学問です。そして個々の患者さんに合わせて生活習慣の改善、栄養の摂取、デトックスなどを行っていく治療を分子栄養医学、一般に栄養療法と呼んでいます。

西洋医学と栄養療法の違い 従来の西洋医学的対症的治療は、明らかな病気(と西洋医学が認めた症状)に対して行う比較的単純で強力な治療(機能が悪くなった細胞から発生する炎症物質をブロックしたり、ガンなどを切除、細菌をやっつける薬を投与、詰まった血管を再開通させるなど)が得意で、効果がすぐに目に見えて劇的です。「比較的単純」というのは、個体差を考えず、薬や処置だけで症状を消すことができるという意味。それを可能にするため、薬や技術の進歩には著しいものがあります。しかし、残念ながら根本的には治癒しない疾患が少なくなく、治療は医師が主体、患者さんは多くの場合受け身の立場です。

また、病名がつかない、西洋医学的に説明不可能な症状に対しては、患者さんがどんなに消耗していて辛くても、病気として扱ってもらえないという側面もあります。

それに対し栄養療法は・・・

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