副腎疲労の本当の正体

前回の復習。ストレスや炎症が慢性的に続くと、副腎のホルモンを多く必要とするため、副腎が酷使され、ついにはホルモンをつくる機能が低下することが副腎疲労という話でした。

副腎は生命活動に欠かせない重要な臓器ですから、その機能が低下して明らかな症状が出るまでに、体にはそれをバックアップする機能がちゃんとあるのです。

脳の縦断面

それが、視床下部-下垂体-副腎軸。左右の脳の中央、視覚や聴覚を大脳に中継する重要な働きをしている「視床」の少し前下方にある「視床下部」。そこから木の実のように垂れ下がる「脳下垂体」がキーになります。

視床下部-下垂体-副腎軸
hypothalamic-pituitary-adrenal-axis
HPA軸

副腎が平社員ならば、脳下垂体が課長、視床下部は部長。コルチゾールの消費量に比して副腎からの分泌量が足りなくなってくると、部長の視床下部が感知し、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンCRHを分泌して課長の脳下垂体に知らせ、それを受けた課長、脳下垂体は副腎皮質刺激ホルモンACTHの分泌量を増やして平社員の副腎に働きかけコルチゾール生成を促します。つまり、コルチゾールの在庫が減って生産が追い付かなっくなった時、部長が課長に、課長が平社員にはっぱをかけて働かせます。 これが視床下部-下垂体-副腎軸。

初めのうちは課長に言われて頑張る平社員ですが、そのうち頑張ろうにも力が出なくなり、生産量が減るので、部長がさらなるはっぱを課長にかけ、課長は平社員に・・・・これを繰り返すうちに、平社員はもちろん、課長も部長も疲弊してしまって、倒産寸前。みたいなことが脳と身体で起こってしまう。まるでブラック企業です。

これが「副腎疲労」の正体。 視床下部-下垂体-副腎軸
(hypothalamic-pituitary-adrenal-axis
HPA軸
) の障害とも言います。

そうなると生きて行くためには、使うエネルギーを極力節約する必要がありますから、体をだるくさせてあまり動かないようにし、頭も使わず働かないようにしてうつ病のような状態にする必要があるのです。そして、事ここに至ると、視床下部-下垂体が司令塔となっている甲状腺機能、成長ホルモンなども影響を受け、さらに多彩な症状を呈するようになってしまうんです。

これを改善するには、コルチゾールの浪費を減らすことが重要。

まず、体のどこかに炎症がないかどうか。ここで言う炎症とは一般的な「痛み、赤み、腫れ」などの症状を呈するものではなく、さほど自覚症状のないような、慢性の持続的な炎症。その代表は上咽頭炎(2021/7/21様々な不調の原因、上咽頭炎 を参照)、脂肪肝、歯周囲炎、そして腸(リーキーガットなど)。自覚症状がないのに、知らず知らずホルモンを浪費して不調の原因になっているのが特徴です。

次に、血糖の安定化。砂糖などの単純糖質を摂りすぎて血糖値スパイクを作ってしまうと、インスリンがドバっと出て急激に血糖を下げる。反動で下がりすぎた血糖値(低血糖)は命の危機ですから、手っ取り早く血糖を上げる砂糖やカフェインを渇望します。そしてまた血糖値スパイクが・・・という悪循環。この状態は無駄に血糖を上げるホルモンの出動を要し、コルチゾールもアドレナリンも無駄遣いされます。砂糖やドカ食いは色々ダメなんですが、こんな結果も招いてしまうんですね。(詳しくは、2022/1/26,2/6の低血糖 を参照)

そして、おそらくもっとも難しいのが精神的ストレス。あまりの場合には職場をかえる、離婚する、家を出るなどという強硬手段を行使せざるを得なくなる場合もありますし、あえて蓋していた人間関係の修復(特に親子)を余儀なくされることもあります。

いくら栄養を整えても体調が上がらない人、知らずしらずに栄養の吸収を妨げ、栄養の浪費を増やしていませんか?

自分自身の潜在意識と真剣に向き合い、時には人生を変えるほどの大ナタを振るう必要があるほどの、脳(=精神)の問題に行き当たる可能性がある「副腎疲労のホントの正体」でした。

副腎疲労って何ですか?

「副腎」は、左右の腎臓の上にチョコンと載っかっている三角形の小さな臓器。

この小さな臓器、サイズのわりにとても重要な働きを担っているんです。

副腎の皮の部分、副腎皮質からはコルチゾール、俗にステロイドホルモンと呼ばれているホルモンが作られ分泌されています。別名ストレスホルモン。精神的ストレスだけでなく、肉体的ストレス、炎症などに対抗するホルモンです。炎症と免疫って表裏一体の反応ですから、免疫を抑える働きがあります。血糖を上げる働きもあります。

免疫を抑え血糖を上げるって、なんだか悪者~と思われました?そんなことはありません。例えばコロナの重症化はウイルスそのものの毒性ではなく「サイトカインストーム」が主因とされていますが、これはいわば「免疫の暴走」。いい具合に免疫が働くためには免疫のなだめ役が必要で、それが副腎皮質ホルモンなんです。現にコロナのサイトカインストームにはステロイドホルモンを投与することにより、飛躍的に救命率を上げています。

また、飽食の時代、血糖が上がりすぎることが病気の原因になってしまいましたが、人類の歴史始まって以来何百万年もの間人類というか地球上の生物は飢餓に苦しめられてきたんですから、食料がしばらく途絶えても血糖が下がりすぎない機能は命を繋ぐ手段だったって事。つまり、副腎皮質ホルモンは生きて行く上でとてもとても重要なホルモンなんです。

一方副腎のあんこの部分、副腎髄質からはアドレナリンやノルアドレナリンという自律神経を制御する神経伝達物質が作られ分泌されます。神経伝達物質は神経のつなぎ目(シナプス)において情報を伝達するホルモンのような物で、別名脳内ホルモンと呼ばれています。自律神経とは、意思とは無関係に生命を維持するうえで必要不可欠な機能を適切に制御する神経。肺や心臓、消化管などの臓器を動かしたり、発汗や血糖値の調節もしています。自律神経のうち興奮に導く交感神経の伝達物質が、副腎髄質から出るアドレナリンとノルアドレナリン。これらにはやる気や意欲、元気を出す作用がありますが、多すぎると不安やイライラ、夜間に出てしまうと不眠の原因になります。(参照 2022.4.29 良い睡眠とれていますか?)

このように、副腎は生命に欠かすことのできない働きをしていますが、長年のストレスや持続的な長期にわたる炎症があると特に副腎皮質ホルモンの浪費が続き、ついには副腎が頑張り切れなくなってホルモンを出せなくなるってことが起こってくる、というのが「副腎疲労」です。

そうなってしまうと、本来自前のステロイドホルモンが制御すべき炎症が暴走して、アレルギーやリウマチをはじめとする自己免疫疾患などの慢性炎症性疾患が起こりやすくなり、ステロイドホルモンを外注(薬で投与)せざるを得なくなりがちです。また、「体」の病気が起こららなくても、低血糖が起こりやすくなるため、エネルギーが作れない(元気がない)、朝起きられない、集中できない、消化機能が落ちる、栄養不足、うつ症状、とどんどん負のスパイラルに陥っていきます。

いわゆる体の病気は普通の医療機関で「病気」として扱ってもらえ、薬が投与されて症状を抑えることができる(注:治るわけではない)ので、わざわざ「副腎疲労」と呼ぶ必要はない?ですが、体の症状が乏しい方は「怠けもの」「やる気がない」と判断されたり、挙句の果てには「うつ病」と診断されたりしていますので、何とかしたいと模索するうちに「副腎疲労」に行き当たる、という感じでしょうか?

栄養療法も副腎疲労も知らずに向精神薬を飲み続けている患者さんの方が多いかも、とは思うけど・・・・

普通の(栄養療法を知らない)医師は「副腎疲労」という言葉さえ知らないし、知っていても「そんなへんてこな病名をうたっているけしからん医者や、それを信じるあきれた患者がいる。」と公言しているコラムをある雑誌で見かけました。それを読んで、このブログを書くことにしたんです。医学部では教えないから、知らないのは仕方ないですが、知っているならば、なぜもっとまともな情報を探してくれなかったのか、と残念。

そう、医学部では栄養の大切さも副腎疲労も教えないのだ。医学教育の現場を取り仕切る偉い先生方は、製薬会社のサポートを受けて研究しなければならない厳しい日本の現状で、素晴らし実績をあげた方々。正しいけどある意味偏った世界で生きておられる方がほとんどだから、この厚い壁を破ることは容易ではない。製薬会社にとって薬を使う必要がなくなる治療なんてお呼びではない。いかんいかん、このまま書き続けたらどんどんいやな事を書きそうなので、このあたりで止めることにしよう。

とはいえ、数十年前にカナダで産声を上げた「栄養療法」は苦難の時代を耐え抜いた偉人たちの意志を継ぐ人々によって少しずつ、でも確実に広まってきています。私もその伝道師の端くれになれたら、という思いで日々過ごしています。

次回は、「副腎疲労は副腎だけの問題にあらず。ホントの副腎疲労の正体は?」

ビタミンC④ 身体のどこに?

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図1

人間同様、ビタミンCを作ることができないモルモットでビタミンCの投与量と臓器別の濃度を調べた実験があります(図1)。縦軸がビタミンC濃度、横軸が投与量。

この図からは、投与量が少ない時の臓器による濃度の格差がかなり大きいことがわかります。副腎がダントツでまず濃度が上がり、ついで肝臓、脳のビタミンC濃度が上がっています。ビタミンCの投与量が少ないと優先順位の低い臓器にはほとんどビタミンCが分布していないことがわかります。

栄養素というのは、それを必要とする臓器に優先的に運ばれ存在し、摂取量が少なかったり消費量が多くて足りない時には、優先順位の低い臓器にはその栄養素が回ってこないという事です。優先順位は多少人(遺伝など)によって違いますが、最大の要因は「生命活動を維持するのに必要な度合い」でしょう。

副腎はステロイドホルモンやカテコラミンと呼ばれる脳内ホルモンの一種、アドレナリンなどを作る臓器です。何度も出てきますがステロイドはストレスや炎症に対応するためのホルモン、アドレナリンもストレス時に多く放出されるホルモンですから、ストレスや炎症があるとホルモンの需要量が高まります。ステロイドホルモンをつくるためにはビタミンCを多く消費しますので、ストレス、炎症時にはビタミンCの消費量が増えるという事になります。

また活性酸素を除去するためにもビタミンが必要なので、活性酸素を多く発生する環境や喫煙でもビタミンCの消費量が上昇します。

という事は、シミを薄くするためにビタミンCを摂取していても、ストレスや炎症があったり煙草を吸っていてはかんじんの皮膚には一向にビタミンCは来てくれないという事になりますね。

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図2人間の臓器別ビタミンC濃

人間の臓器別では、図2のように血管(血中濃度)を1とすれば、脳は20、免疫細胞である白血球は80、ステロイドホルモンをつくる副腎では150倍もの濃度のビタミンCが存在している、つまりビタミンCを必要としているという事です。

脳ではアミノ酸を血液から脳に運び込む際や活性酸素を除去するのに必須、白血球は免疫細胞ですからその活性を高めて「風邪やガンにビタミンCが効く」根拠の一つになりますね。

さらに副腎は、「副腎疲労」に象徴されるように、エネルギー産生、血糖維持、炎症や免疫、ストレス、など生きて行くうえで不可欠な機能がたくさんある重要な臓器です。それを支えている重要な栄養素の一つがビタミンCなんですね。

「ん?副腎疲労って何?」と思ったあなた。次は「副腎疲労」の事書こうかな。

ビタミンC③ 有効な摂取方法

ビタミンCは水溶性で熱に弱い、とは多くの方がすでにご存じでしょう。

それはその通り。

では、「ビタミンCはいくら摂っても吸収しきれない余剰分はすべて排泄されて無駄になる」というのが、古~い見解で、すでに否定されていることはご存知ですか?

「吸収しきれないビタミンCはすべて排泄されてしまう」というのは、その昔囚人を使って行った実験を誤って解釈した見解なのです。ビタミンC欠乏食でビタミンCを欠乏させた囚人にビタミンCを少しずつ摂取させ、どの時点で尿にビタミンCが排泄されたかを測定したところ、60mgのビタミンCを与えた時点で尿中にビタミンCが排泄されたのです。だから「ビタミンCは60mg以上は吸収されず、人間の体には60mgのビタミンCで十分なのだ。」と結論付けられました。

さて、それは本当なのか。そう思って実験した人がいました。60mg以上の摂取量と排泄量の関係を調べてみたところ、ビタミンCを投与したときの尿中排泄量は、例えば1000mgでは250mg、2000mgでは1120mg。吸収率で言えば1000mg摂取で75%、2000mg摂取では44%。つまり、大量のビタミンCを摂取すれば吸収率は下がるけれど、それなりに多くが吸収され、60mgを超える分がすべて排泄されるわけではなかったんです。

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ビタミンC② 多彩なはたらき

ビタミンCの働きは他にもたくさんありますが、代表的なものは以下の通り。

働き不足するとおきやすい症状
①コラーゲンをつくるシワができやすい。傷が治りにくい。
毛細血管がやぶれやすい。
②免疫力を高める感染症(風邪など)にかかりやすい。
がんになりやすい。
③ステロイドホルモンをつくるストレスに弱くなる。
④鉄の吸収を助ける貧血になりやすい。
⑤酵素の働きを助ける肝臓の解毒作用が低下する。
⑥活性酸素を除去する色黒・シミ・ソバカスができやすい。

それぞれに少し補足しましょう。

①コラーゲンというと「お肌」をイメージされると思いますが、コラーゲンは皮膚に限らず全身のあらゆる臓器組織の形を作っています。血管の壁もコラーゲンですから、ビタミンC欠乏症である壊血病では血管が弱くなって出血しやすくなるんです。壊血病にはごく少量のビタミンCの補充が著効します。つまりビタミンCが少々足りなくてもまずはコラーゲンを作るお仕事が優先される、というくらい大事なお仕事なんですね。

②風邪にビタミンCが効く、とは以前より言われつつも、「ほんとかな?」と思っていませんでしたか?「風邪薬ほどは効かないでしょ!」と言われそうですが、そんなことはありません。コロナもそうですが、風邪の原因のほとんどは「ウイルス」。コロナの特効薬もないですが、風邪のウイルスそのものをやっつける薬はありません。西洋薬ではせいぜい熱さましや咳止めという対症療法しかできないんです。症状が軽くなれば効いているように錯覚しますが、「発熱」は体温を上げて免疫を上げるため、「咳」は病原体を肺や気管支から追い出すため、つまり治すための自然な反応なんですよ。つまり西洋薬の風邪薬では症状は軽くなるけど「治り」は遅くなるんです。漢方薬はその限りではありませんが、薬の事はさておき、ここではビタミンCの話。ビタミンCは好中球という白血球を活性化する働きがあるんです。好中球は、病原体が体内に入ってきたら真っ先に駆けつけて戦ってくれる細胞です。病原体が何者かわからなくても、怪しい!と察知したらすぐに駆け付けてくれる、いわば自然免疫の主役です。ただし、好中球が活性化するには、壊血病の10~100倍の量のビタミンCを摂取する必要があるんです。

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③ステロイドホルモンって、なんだか怖い薬のイメージがありますが、そもそもは副腎という臓器で作られる、ストレスや炎症を制御している重要なホルモンなんです。このホルモンが相対的に足りなくなると、勝手に炎症が起こったり免疫がおかしくなるので、お薬として投与せざるを得なくなるんですよね。そして、ステロイドホルモンをつくるのに、ビタミンCが風邪予防以上の量が必要なんです。

その他、鉄の吸収や酵素の働きを助けたり、活性酸素を抑える働きがありますが、鉄にも様々な作用があり、人間の体は酵素がなければ生きて行けないし、過剰な活性酸素は万病のもとですから、いかにビタミンCが重要かという事は、ここまで読んでいただいただけでも十分お分かりいただけたのではないでしょうか?

そして、近年、口からは摂れないほど高容量のビタミンCを血管に直接点滴すると癌に効くという事も科学的に証明されています。もちろんすべての癌に確実に効くわけではないですが、副作用がほとんどなく、ついでに感染症予防や副腎機能の向上も期待できますので、仮に延命はできなくても最後まで元気に「生ききる」お手伝いをしてくれるんです。抗がん剤で体力が弱って食欲がなくなるのと対照的ですね。抗がん剤の副作用を軽減してくれる効果も期待できます。

このようにビタミンCは摂取量によって効果が変わってきますが、ビタミンではB群、Dなどでも摂取量や血中濃度による効果がそれぞれ分かってきていて、効果を出すのに必要な量を至適量、容量に応じて体の反応が起こることをことを「ドーズレスポンス」と言います。

「ビタミンCの歴史」で触れましたが、ビタミン発見の歴史は「欠乏症」の原因追及の歴史です。「欠乏症」と言われる命にかかわる病気を回避するだけならば少量で十分なことが多く(命に係わるのはよほどの欠乏ってことですね)、国が1日必要量として定められている量は、この欠乏症を予防する量です。だから、ドラッグストアで安く手に入るサプリメントや保険適応のビタミン剤では、欠乏症は予防できても風邪の予防やストレス対応などというビタミンCの能力全てを発揮することができない事を知っておきましょう。

もちろん安価な保険薬が欠乏症を予防して多くの命を救ってきた歴史が非常に貴重な事には変わりありませんけどね。

次回のビタミンCは「最適量のビタミンCを摂取するコツ」です。

ファスティング(断食)

去る3月半ば、私の所属する分子栄養学の研究会で、グループファスティングに参加した。2年前と昨年は3日ファスティング、今回は主人と5日ファスティングに挑戦。今回は娘夫婦も3日ファスティングに参加した。

最近、特にダイエットのためファスティングはちょっとしたブームになっているらしい。

私はやせっぽっちなので体重を減らしたくはないが、そんな人にとっては腸機能を上げて摂取した栄養をしっかり吸収」利用できるようにしてくれるのがファスティング。要するに適正体重になる・・・はず。

ファスティング前2日間は準備食で基本は例の「まごわやさしい」。注意点は小麦、乳製品、トランス脂肪酸、添加物、砂糖、アルコール、カフェインなどをOFF、ここまでは普段から習慣にしている食事なので特に問題なし。ただ、動物性たんぱく質は消化の負担が大きいのでOFFする。

ファスティング中は酵素ドリンクを頻回に飲みながらたっぷり水分を摂って、ミネラル補給のため岩塩をなめたり、岩塩で漬けた梅干しを使った梅湯と飲む。時に水便が出て、腸を洗浄している気分。ちなみに私が使用している酵素ドリンクや岩塩、梅干しなどは分子栄養学の勉強仲間が販売している無農薬食材で作った無添加の物です。ファスティング中は胃腸が敏感になりますし、解毒の目的もあるので、少しでも「毒」は入れないという趣旨に賛同しました。

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良い睡眠とれていますか?

先日、クリニックで恒例の「ココロとからだセミナー」を開催しました。

都合がつく限り必ず来てくださるメンバーが2,3人、という、超人気セミナー(笑)今回は「睡眠」の話。

睡眠の原因には以下の5つようなものがあります。

・生理的原因:交代勤務やシフト制、時差、寝室の環境、スマホなど  

・心理的要因:ストレスや悩み、緊張、別れなど人生の大きな変化 

・身体的原因:痒み、痛み、下痢、咳、発熱、加齢など 

・精神医学的原因:うつ病、統合失調症、アルコール依存症など

・薬理学的原因:中枢神経抑制薬、降圧剤、抗がん剤、ステロイド、カフェインなど

そして睡眠障害には以下の4つの種類があります。もちろん混合している場合もよくあります。

・入眠困難 ・途中覚醒 ・早朝覚醒 ・熟眠障害

良い睡眠をとるためには、生活習慣が重要です。特に、脳のスイッチのON、OFF

<脳のスイッチをON>

 ・早起き

 ・朝食をよく噛んで食べる

 ・朝日を浴びる

 ・仕事(活動)は午前中に集中して

 ・日中できるだけからだを動かす

<脳のスイッチをOFF>

 ・夕方早く仕事を終える

 ・入浴は寝る90分前に終える:40℃、肩まで浸かって1015

   深部体温をいったん上げて下がる頃に眠くなる

 ・部屋の明かりは薄暗く、音楽を聴くなどしてボーっと過ごす

 ・寝具:背中を温める、締め付けの少ないパジャマ、靴下は履かない

    電気毛布やアンカは就寝前にOFF

    良眠には深部体温をさげることが必要で、手掌足底は覆わないほうが良い。

 ・アイマスクはお勧め (目とくびを温める)

と、ここまでは一般的にも良く言われていること。

実は、ここからが本題です。

熟眠障害には自覚がない場合も結構あるってご存知でしょうか?例えば

□寝汗 □寝違え □夢を見る □朝から疲れている

□食いしばり・歯ぎしり □朝ごはんが食べられない

□お通じ(排便)が困難   など。

思い当たる人は少なくないはず。

実はこれらの症状、交感神経の刺激によるアドレナリンの作用なんです!なんで、夜間に興奮系の脳内ホルモン、アドレナリンが出てしまうのか!その犯人は、「夜間低血糖」

食事をとらない夜間の血糖は脳下垂体から分泌される成長ホルモンと、副腎皮質から分泌されるコルチゾールが支えているんです。

どちらも栄養不足、ストレス、睡眠不足、砂糖の摂りすぎ、カフェイン、アルコール、腸環境の悪化、スマホなどの電磁波や光などの影響を大きく受けて低下してしまいます。そうすると血糖を上げるホルモンのバックアップ隊アドレナリンの出動です。睡眠前野睡眠中にアドレナリンが出ると、目が覚めてしまったり、悪夢を見たりして睡眠の質が悪くなります。「分かっていてもやめられない」と言われそうなものばかりだけど、知っているといないでは大違い!

心当たりのある方、このブログの栄養療法のカテゴリーに入っているタイトル、特に2022/1/26「低血糖症」の回、2022/2/6「低血糖症対策 補食」の回を復習してみてください。私の患者さんでも、根気よく取り組んで眠剤が要らなくなった方、大勢います!

まごわやさしい

体に美味しい食卓を作る合言葉のようによく言われる「まごわやさしい」

ま:豆など穀物類

ご:ごまなど種実類

わ:わかめなど海藻類

や:やさい

さ:さかな

し:しいたけなどキノコ類

い:イモ類

これにお肉を加えて「まごにわやさしい」とかさらに果物を加えて「まごにわやさしいか」とかアレンジ版も見かける。

わざわざ語呂合わせしなくてもだいたいすべてを食べておられる方には当たり前で不要だが、朝はパンとコーヒー、昼は麺類、夜はビールとおつまみ、みたいな食事をされている方は意識するといいですね。と言っても、そんな食事をされている方は、残念ながらこのブログを読んではおられないでしょうけど・・・

先週末に豆とゴマではない本物の「まご」がやってきた。娘の同僚の(コロナで)延びに延びた結婚式のため。コロナ禍、新郎新婦さんも式場側も大変だ。

一方、夫と私は日曜日は朝から夕方まで二人で孫の相手に明け暮れた。

ジャングルジム滑り台を置いて「リー君ランド」になったリビングでしっかり歩いて遊具で遊ぶたくましい1歳半。先日亡くなったおばあちゃんは「昨日できたことが今日はできなくなった」と毎日嘆いていたが、孫は「昨日できなかったことが今日は出来る」を毎日更新している。

少し前はそれを見たら逆におばあちゃんを思い出して、ちょっぴりせつない気持ちになっていたが、今はこれが命を繋ぐという事なんだと思える。

私、当初は「おばあちゃん」、「ばあば」とは言わせずなんと呼ばせよう、と思案していたが、滑り台をすべるのを見せようと「ばー」と呼ばれたら、「はいは~い、ばあばですよ!」と喜び勇んで駆けつけてしまう、正真正銘のバババカになっていた。

娘は上手く手抜きしながら子供の心身の成長に必要な栄養を考えて、可能な限り自然の食材で食事やおやつを与えている。そのためか、同年代の幼児に比べても精神状態は安定し、体力も意欲もある。(これこそバババカ?)

孫に限らず、将来を担う全ての子供たちの未来のために、私はもうちょっと元気でいて栄養療法をひろめなければ・・・という思いを新たにした週末でした。

ビタミンC① 歴史

ビタミンCといえば「美白!」と多くの方が思っているのではないでしょうか?

確かに代表的な抗酸化物質であり、十分に投与すれば抗酸化作用が皮膚にいきわたり、美白効果が得られます。でも、ビタミンCにはもっともっとたくさんの効能があるのですよ。

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壊血病

【ビタミンCの歴史】


15~17世紀の大航海時代に、長い航海中乗組員の多くが病気になり死亡する恐ろしい病気がありました。歯肉や粘膜、皮膚から出血し、さらに下血や血尿も見られ、ついで免疫力も減退し筋力も低下し、ついには死に至ります。壊血病です。
当時は原因不明で治療法なく、「大航海の病」と言われていました。
1753年に、英国海軍の軍医ジェームズ・リンドは、壊血病に罹った水兵にさまざまな食事メニューを与えて比較実験を行いました。すると、新鮮な野菜や果物、とりわけオレンジやレモンなどの柑橘類を食すると著明な回復が認められることを突き止めました。

1768年から約3年間南太平洋の探検にあたったジェームズ・クック船長は、この結果をもとに大量の酢漬けキャベツ(ザワークラウト)を積み込み、野菜や果物を積極的に摂取させるようにしたところ、壊血病による死者が出ることのない長期の航海に成功しました。

加熱した濃縮ジュースでは壊血病を完全に回避することはできませんでした。抗壊血病因子(後にビタミンC)は熱に弱いという事が知られたのは後の事です。

【ビタミンCが作れる動物と作れない動物】

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ところで、地球上の動物の多くは体内でブドウ糖からビタミンCを生成することができます。しかし、人間、モルモット、一部の霊長類ではビタミンCを生成する遺伝子の一部が変異して作れなくなっています。

栄養素を自ら作るにはエネルギーが必要なので、脳にエネルギーの多くを奪われる人間は、果物などビタミンCが豊富な環境下で暮らすうちビタミンCを作る機能を放棄したとも言われています。

ビタミンCを生成できる動物は、感染症などの病気になった時、けがをしたときにはビタミンCの産生能を高め、平常時の何十倍、何百倍のビタミンCを産生します。

という事は、我々人間は、常にビタミンCを摂り続ける必要があるだけではなく、風邪や病気の時には普段の何倍ものビタミンCを意識して摂らなければならないってことですね。

余談ですが、現在でも壊血病で病院に来られる方がまれにおられますが、その中に、毎日卵かけご飯だけを食べていたという報告を聴いたことがあります。卵は完全食品だと信じてそうされていたようですが、鶏は自分でビタミンCを作れるので、ヒナが自分で作れて摂取する必要のないビタミンCが卵の中には用意されていないのでしょうね。モルモットもビタミンCを作れない動物ですが、もしモルモットに卵があったら(哺乳類だからないですけど)モルモット卵なら完全栄養食品になるかなあ・・・?

次回は、「ビタミンCの驚くべき働き」を紹介したいと思います。

栄養と発達障害

発達障害と診断された10歳の女の子との出会いです。

総合病院の皮膚科勤務医だった私のところに、「足の爪が白く弱くなって欠ける」という主訴で10歳の女の子が来てくれました。優しそうなお母さんが心配げに症状を語ってくれ、足趾にカサカサがあったので、顕微鏡で調べると水虫菌が見つかりました。爪からは菌が検出しませんでしたが通常ならば水虫を疑い、お子さんなので(飲み薬ではなく)まずは塗り薬を塗ってみましょうと言うと思いますし、実際抗真菌剤の塗り薬を処方しました。

水虫はカビの菌が皮膚の表面に感染して起こる病気とされています。もちろんそれは正しい。でも、栄養療法を学び始めていた私は、栄養療法的には水虫は腸内のカビの菌(カンジダ)の増殖を反映しているのではないかと、ちょっと疑ったんです。

食事内容を問診しましたら、食が細く、肉も魚も嫌いであまり食べないとの事。

そこで、タンパク質、鉄、亜鉛の欠乏で爪が濁ったり弱くなる可能性もあると説明し、「血液検査をするとある程度の栄養状態がわかるのですが、子供さんだしそこまではしなくても・・・」と言おうとしたところ「血液検査」と聞いたとたんに、「いやだ!怖い」と激しく泣き出してしまいました。 10歳にしてはあまりに幼い反応にびっくりすると、お母さんが「担任の先生や友達との関係が上手く築けず、不登校になっている。」とおっしゃり、のちに発達障害と診断されているとお聞きしました。

食事指導として肉や魚、野菜を頑張って食べること、カツオやイワシなどの出しの粉をチョコチョコ摂るよう勧めたところ、なんと再診時、学校へ行けるようになり、給食が完食できるようになった!と。しかも、ニコニコしながら「学校が楽しい」と大きな声で自分で報告してくれたんです。

私の栄養療法クリニック開業を機に栄養療法を希望され、 小麦、乳製品、砂糖、食品添加物を極力除去➡1か月で便秘が著明に改善し、「体が軽くなった」と喜んでくれましたが、まだ栄養療法の1時間のカウンセリング中にはエネルギー不足でじっと座っていられない状態。

これはよくあることで、発達障害のお子さんは押しなべて腸が悪く、その結果栄養状態も悪く、エネルギー産生が不十分なため、すぐに感染症などの病気になったりしんどくて学校に行けなかったり、神経伝達物質の代謝のバランスが悪くて過度な不安を感じたりするんです。

そこを栄養と結び付けて説明してさしあげると、お母さんは「○○ちゃんの我慢が足りないのではないと知って安心しました。」と言われました。栄養素が精神状態やエネルギー(元気度)に影響するという事が科学的に分かると、対処法が具体的になって安心されるようです。

お母さんとのカウンセリング(傾聴や思考パターンへの介入)、メールのやりとり、食事指導などを繰り返しましたが、その後、担任の先生がクラスメイトに暴力を振るうのを見たショックでまた学校に行けなくなったり、調子が悪くて受診できなかったりを繰り返し、やっぱりそう単純にはいかないのかなあと思っていた矢先のこと。

初診から1年半、クリニックで本格的に栄養療法を始めて約半年後、お母さんからうれしいメールが届きました。

「娘が修学旅行に行け、週に1日から2日学校に続けて通えました。前向きになり、出来る事も増えていて、(修学旅行や皆と一緒に卒業アルバムの写真を撮る等の行事の後は疲れて1週間程休んでしまいますが、)担任の先生からは先日「こんなに出来る○○ちゃんは見たことがありません。」と言っていただきまして、私もとても驚き嬉しいです。」

私が皮膚科医としてのキャリアを離れ栄養療法を選んだ最大の目的「子供を元気にする」に光がさした瞬間でした。

子供の発達障害は根本的には治らないとされています。心理療法やカウンセリングを繰り返してもなかなか成果が得られず、抗うつ剤などのお薬が使用されることもあります。でも、食事で劇的に改善する例もあるんです。薬には副作用がつきものですが、食べ物にはほぼ副作用はありませんし、精神症状のみならずエネルギー産生能や免疫機能の向上も期待できます。

どうかどうか、栄養療法が「治療」ではなく当たり前の「習慣」として世の中に浸透しますように・・・・

お子様の発達障害でお悩みのお父さんお母さん、まずは私の尊敬する内山葉子先生の著書「発達障害にクスリはいらない」をお勧めします!