ビタミンC① 歴史

ビタミンCといえば「美白!」と多くの方が思っているのではないでしょうか?

確かに代表的な抗酸化物質であり、十分に投与すれば抗酸化作用が皮膚にいきわたり、美白効果が得られます。でも、ビタミンCにはもっともっとたくさんの効能があるのですよ。

【ビタミンCの歴史】

壊血病


15~17世紀の大航海時代に、長い航海中乗組員の多くが病気になり死亡する恐ろしい病気がありました。歯肉や粘膜、皮膚から出血し、さらに下血や血尿も見られ、ついで免疫力も減退し筋力も低下し、ついには死に至ります。壊血病です。
当時は原因不明で治療法なく、「大航海の病」と言われていました。
1753年に、英国海軍の軍医ジェームズ・リンドは、壊血病に罹った水兵にさまざまな食事メニューを与えて比較実験を行いました。すると、新鮮な野菜や果物、とりわけオレンジやレモンなどの柑橘類を食すると著明な回復が認められることを突き止めました。

1768年から約3年間南太平洋の探検にあたったジェームズ・クック船長は、この結果をもとに大量の酢漬けキャベツ(ザワークラウト)を積み込み、野菜や果物を積極的に摂取させるようにしたところ、壊血病による死者が出ることのない長期の航海に成功しました。

加熱した濃縮ジュースでは壊血病を完全に回避することはできませんでした。抗壊血病因子(後にビタミンC)は熱に弱いという事が知られたのは後の事です。

【ビタミンCが作れる動物と作れない動物】

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ところで、地球上の動物の多くは体内でブドウ糖からビタミンCを生成することができます。しかし、人間、モルモット、一部の霊長類ではビタミンCを生成する遺伝子の一部が変異して作れなくなっています。

栄養素を自ら作るにはエネルギーが必要なので、脳にエネルギーの多くを奪われる人間は、果物などビタミンCが豊富な環境下で暮らすうちビタミンCを作る機能を放棄したとも言われています。

ビタミンCを生成できる動物は、感染症などの病気になった時、けがをしたときにはビタミンCの産生能を高め、平常時の何十倍、何百倍のビタミンCを産生します。

という事は、我々人間は、常にビタミンCを摂り続ける必要があるだけではなく、風邪や病気の時には普段の何倍ものビタミンCを意識して摂らなければならないってことですね。

余談ですが、現在でも壊血病で病院に来られる方がまれにおられますが、その中に、毎日卵かけご飯だけを食べていたという報告を聴いたことがあります。卵は完全食品だと信じてそうされていたようですが、鶏は自分でビタミンCを作れるので、ヒナが自分で作れて摂取する必要のないビタミンCが卵の中には用意されていないのでしょうね。モルモットもビタミンCを作れない動物ですが、もしモルモットに卵があったら(哺乳類だからないですけど)モルモット卵なら完全栄養食品になるかなあ・・・?

次回は、「ビタミンCの驚くべき働き」を紹介したいと思います。

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