亜鉛① 亜鉛のはたらき

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去る8月18日、月1回恒例のクリニックセミナーを開催しました。テーマは「亜鉛」

セミナーが終わってすぐにこのブログを書き始めたはずだったのに、「亜鉛」が重要すぎてなかなかまとまらず、気が付いたらすでに10月!

残念ながら、西洋医学ではあまり「栄養」が重視されませんが、こと「亜鉛」に限っては近年基礎研究が進み、様々な働きがあることが実臨床のレベルにまで知らされるようになり、亜鉛欠乏症という概念が浸透し、亜鉛補充薬を積極的に使用する動きが出てきています。

まずはその亜鉛の多彩なはたらき。

亜鉛の働きはわかっていることだけでも数えきれないほどたくさんありますが、主なはたらきとして知られているのは

①触媒機能:300種類以上の酵素の必須成分

触媒というのは、例えばAという物質をBに変える化学反応を促進する物質の事です。生体内では「酵素」と言います。酵素という名前の方がなじみがあるかもしれませんね。酵素は、放っておくとAからBに変化するのに何万年もかかる反応、あるいはむしろBがAになってしまうかもしれない反応を、体の機能に必要とあれば瞬時に起こしてくれるんです。つまり、月並みですが生きて行くために必須のアイテムなので、亜鉛が300種類の酵素にかかわっているというだけでも十分に重要な栄養素であることは間違いないですね。

②構造機能:タンパク質を形作り、機能させるための成分

①や④のような機能を果たしている物質の主成分はほぼすべてタンパク質なのですが、ここで亜鉛が必要なのは、そのタンパク質を形作る構造の構成要素として亜鉛が必要不可欠、つまり、亜鉛がなければ酵素やそれ以外の機能を果たすタンパク質をつくることができないっていう事です。

③調整機能:炎症制御、Zn2+シグナルとして

私たちの細胞や体を動かす電力のような物はATPですが、細胞内のATPからエネルギーを取り出すのに亜鉛が必要ですので、亜鉛が極端に少ないとたちまち元気がなくなってしまいます。細胞外にATPが多すぎると炎症を起こしやすくなってしまいますが、この暴走を抑えるのも亜鉛です。また、亜鉛イオンの濃度そのものが細胞の内外の情報を伝達して様々な機能を調節する信号のような役割を果たしています。

④抗酸化・解毒機能

活性酸素や毒素は炎症の原因になったり、体の機能を妨げたり、細胞を変性させて正常に働かなくさせますが、亜鉛を含有するメタロチオネインというタンパク質は水銀やカドミウムなどの有害重金属を解毒・排泄したり、強力な抗酸化物質として活性酸素を取り除いたりしてくれています。

上記のような機能は具体的には、DNAの合成、骨の形成、赤血球の形成、インスリンの安定化、エネルギー産生、脳の機能、免疫など多くのはたらきに関わっています。

たくさんありすぎて書ききれませんが、ここにあげただけでも亜鉛がいかに重要なミネラルであるか、という事をお分かりいただけたか、と思います。

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