その症状、鉄欠乏ではないですか?

 あなたも~隠れ鉄欠乏~かも?

去る7月21日、今泉眼科で恒例の「ココロとからだセミナー」を開催しました。

今月のテーマは「鉄欠乏」。鉄欠乏と言えば「貧血」。貧血は、男性に比べ、生理のある女性に圧倒的に多い。貧血にはなったことがないからご自分には関係なと思われたあなた、日本人女性の鉄欠乏は深刻なんですよ。20代~40代の女性の実に60%以上が鉄欠乏というから、他人ごとではないかもしれません。

例えば、こんな症状・・・

□”立ちくらみ”や“めまい”がある

□頭痛になりやすい

□疲れやすい

階段を昇ると息切れがする

よくあざができる

□大きなカプセルが飲み込みにくい

病院で訴えたら「不定愁訴」なんて言われて、ややもすると、訴えの多い面倒な患者と思われるかもしれないような症状ですよね。

それで血液検査をして、貧血があれば「鉄欠乏」と診断されますが、「貧血」と診断されない場合、「異常がないから気のせいです。」とか「神経質にならずに」なんて言われちゃうことがあってしまう。そんな、貧血じゃない鉄欠乏があるっていうのが、今回のお話でした。

さらに、そんな症状がなくても

□生理のある女性  □成長期のお子様  □スポーツをよくする人

このような方は、「鉄」の需要が大きく、鉄欠乏のリスクが高いのです。

ミネラル全般に言えることですが、以下のような理由で現代人は鉄欠乏になりやすいんです。

土壌の劣化による食品中の鉄分の不足

ダイエットや偏食による鉄の摂取不足

精製・加工された、低栄養で鉄分の少ない食品の増加

生理、発育、スポーツ、ストレスによる鉄の需要量の増加

胃腸機能の低下による吸収率の低下

欧米ではシリアルなど日常口にする食品に鉄を添加することが法律で義務付けられていて、知らず知らずに鉄を摂取できるようになっているんですって。「食」を軽んじる西洋医学偏重の日本ではそのような対応は全くなく、個人個人が知識を得て気をつけるしかありません。

鉄は、酸素を運ぶ重要な役割を担っている赤血球の主要成分、ヘモグロビンの原料になることはよく知られていますが、それ以外に下記のような役割があるため、鉄欠乏の症状は多彩です。

酸素を運ぶ赤血球の主要な構成要素

□電子の輸送とエネルギー代謝で必要:チトクローム酵素を作る⇐解毒も行う酵素

□SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)の構成要素として活性酸素除去に必要

□コラーゲンなどタンパク質の産生に必要➡皮膚・血管・その他の臓器を形作る

□甲状腺ホルモンを活性化する:交感神経つまり元気度に影響

神経伝達物質(アドレナリンやセロトニンなど脳や精神状態を左右する物質)の生成に必須

鉄が足りないと、エネルギーが作れない、解毒ができない、コラーゲンが作れない、活性酸素が除去できない、元気が出ない、つまり元気に生きて行く上で重要な機能が低下します。

でもやはり、最も大事なお役目は酸素を運ぶこと、なんで、鉄が少々足りなくても、ヘモグロビン値だけは最後の最後まで保とうとするのが私たちの体。言い換えれば、貧血になる前にエネルギー産生や解毒能、甲状腺機能、コラーゲンの生成、脳の機能が損なわれる、って事。

ヘモグロビン値が下がるずいぶん前に「貧血」の症状が出始めることが多いのです。このような状態を「隠れ鉄欠乏」または「隠れ貧血」と言います。

ただ、この鉄欠乏、急激に進むと自覚症状に気づきますが、ゆっくり来ると体が慣れてきて、自分のエネルギーに合わせて動くので、自分では単にめんどくさがり屋、とか出不精としか思っていない事もよくあります。

各診療科における鉄不足の訴えと、目や口、爪などに表れやすい鉄欠乏の症状を下記に示します。さあ、自分で鉄欠乏の可能性がないか、チェックしてみてください。

診療科別の鉄欠乏症状

鉄欠乏の所見

次回は、貧血に至らない鉄欠乏の診断に有用な血液検査データの読み方をご紹介しますね。

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