副腎疲労の本当の正体

前回の復習。ストレスや炎症が慢性的に続くと、副腎のホルモンを多く必要とするため、副腎が酷使され、ついにはホルモンをつくる機能が低下することが副腎疲労という話でした。

副腎は生命活動に欠かせない重要な臓器ですから、その機能が低下して明らかな症状が出るまでに、体にはそれをバックアップする機能がちゃんとあるのです。

脳の縦断面

それが、視床下部-下垂体-副腎軸。左右の脳の中央、視覚や聴覚を大脳に中継する重要な働きをしている「視床」の少し前下方にある「視床下部」。そこから木の実のように垂れ下がる「脳下垂体」がキーになります。

視床下部-下垂体-副腎軸
hypothalamic-pituitary-adrenal-axis
HPA軸

副腎が平社員ならば、脳下垂体が課長、視床下部は部長。コルチゾールの消費量に比して副腎からの分泌量が足りなくなってくると、部長の視床下部が感知し、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンCRHを分泌して課長の脳下垂体に知らせ、それを受けた課長、脳下垂体は副腎皮質刺激ホルモンACTHの分泌量を増やして平社員の副腎に働きかけコルチゾール生成を促します。つまり、コルチゾールの在庫が減って生産が追い付かなっくなった時、部長が課長に、課長が平社員にはっぱをかけて働かせます。 これが視床下部-下垂体-副腎軸。

初めのうちは課長に言われて頑張る平社員ですが、そのうち頑張ろうにも力が出なくなり、生産量が減るので、部長がさらなるはっぱを課長にかけ、課長は平社員に・・・・これを繰り返すうちに、平社員はもちろん、課長も部長も疲弊してしまって、倒産寸前。みたいなことが脳と身体で起こってしまう。まるでブラック企業です。

これが「副腎疲労」の正体。 視床下部-下垂体-副腎軸
(hypothalamic-pituitary-adrenal-axis
HPA軸
) の障害とも言います。

そうなると生きて行くためには、使うエネルギーを極力節約する必要がありますから、体をだるくさせてあまり動かないようにし、頭も使わず働かないようにしてうつ病のような状態にする必要があるのです。そして、事ここに至ると、視床下部-下垂体が司令塔となっている甲状腺機能、成長ホルモンなども影響を受け、さらに多彩な症状を呈するようになってしまうんです。

これを改善するには、コルチゾールの浪費を減らすことが重要。

まず、体のどこかに炎症がないかどうか。ここで言う炎症とは一般的な「痛み、赤み、腫れ」などの症状を呈するものではなく、さほど自覚症状のないような、慢性の持続的な炎症。その代表は上咽頭炎(2021/7/21様々な不調の原因、上咽頭炎 を参照)、脂肪肝、歯周囲炎、そして腸(リーキーガットなど)。自覚症状がないのに、知らず知らずホルモンを浪費して不調の原因になっているのが特徴です。

次に、血糖の安定化。砂糖などの単純糖質を摂りすぎて血糖値スパイクを作ってしまうと、インスリンがドバっと出て急激に血糖を下げる。反動で下がりすぎた血糖値(低血糖)は命の危機ですから、手っ取り早く血糖を上げる砂糖やカフェインを渇望します。そしてまた血糖値スパイクが・・・という悪循環。この状態は無駄に血糖を上げるホルモンの出動を要し、コルチゾールもアドレナリンも無駄遣いされます。砂糖やドカ食いは色々ダメなんですが、こんな結果も招いてしまうんですね。(詳しくは、2022/1/26,2/6の低血糖 を参照)

そして、おそらくもっとも難しいのが精神的ストレス。あまりの場合には職場をかえる、離婚する、家を出るなどという強硬手段を行使せざるを得なくなる場合もありますし、あえて蓋していた人間関係の修復(特に親子)を余儀なくされることもあります。

いくら栄養を整えても体調が上がらない人、知らずしらずに栄養の吸収を妨げ、栄養の浪費を増やしていませんか?

自分自身の潜在意識と真剣に向き合い、時には人生を変えるほどの大ナタを振るう必要があるほどの、脳(=精神)の問題に行き当たる可能性がある「副腎疲労のホントの正体」でした。

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