ビタミンC③ 有効な摂取方法

ビタミンCは水溶性で熱に弱い、とは多くの方がすでにご存じでしょう。

それはその通り。

では、「ビタミンCはいくら摂っても吸収しきれない余剰分はすべて排泄されて無駄になる」というのが、古~い見解で、すでに否定されていることはご存知ですか?

「吸収しきれないビタミンCはすべて排泄されてしまう」というのは、その昔囚人を使って行った実験を誤って解釈した見解なのです。ビタミンC欠乏食でビタミンCを欠乏させた囚人にビタミンCを少しずつ摂取させ、どの時点で尿にビタミンCが排泄されたかを測定したところ、60mgのビタミンCを与えた時点で尿中にビタミンCが排泄されたのです。だから「ビタミンCは60mg以上は吸収されず、人間の体には60mgのビタミンCで十分なのだ。」と結論付けられました。

さて、それは本当なのか。そう思って実験した人がいました。60mg以上の摂取量と排泄量の関係を調べてみたところ、ビタミンCを投与したときの尿中排泄量は、例えば1000mgでは250mg、2000mgでは1120mg。吸収率で言えば1000mg摂取で75%、2000mg摂取では44%。つまり、大量のビタミンCを摂取すれば吸収率は下がるけれど、それなりに多くが吸収され、60mgを超える分がすべて排泄されるわけではなかったんです。

厚生労働省が定める1日摂取量は100mgと定められています。100mgのビタミンCならば、新鮮な野菜や果物を摂取すれば賄うことが可能な量です。壊血病を予防するだけならばそれで十分。しかし、前述のとおり、風邪の予防やストレスや炎症に対応する副腎皮質ホルモンの十分な産生を望むならば血中濃度をもっと高める必要がありますし、ましてやすでに風邪をひいてしまって治したいときにはもっと多くのビタミンCを必要とします。そうなれば食べ物のみで大量のビタミンCを摂るのは難しいと言わざるを得ません。

そこで、効率的に栄養素が摂取できるのはサプリメント。以下はビタミンCのサプリメントを効率的に摂取する方法について、その理論と実践のお話です。

図1 ビタミンCの1回摂取量と吸収率

図1のように、ビタミンCの摂取量が60mgなら100%、100㎎なら90%吸収しますが、1000mgだと75%、2000mgになると44%しか吸収せず、摂取量が多くなるにつれ吸収効率が下がります。1000mgと2000mgの間に大きな吸収率の差がありますね。そこで、栄養療法的にはビタミンCの血中濃度を十分に上げるための効率的な摂取量は1000mgつまり1gとされているんです。最近は1日量1gに設計されているビタミンCのサプリメントを結構よく見かけます。

図2 ビタミンC血中濃度を効率よく上げるには・・・

一方、図2のように、ビタミンCは血中濃度を維持できる時間が短く、摂取約1時間後をピークに下がり始め、4時間でほぼ元に戻ってしまいます。

ですから、高い血中濃度を持続的に維持したい場合には、1時間かせめて2時間おきくらいに1gのビタミンCを摂るというのが、最も効率的なビタミンCの摂取の仕方です。

そんなの無理!!!と思ったあなた。私も知ってはいながらなかなかできません(泣)でも、本気で免疫アップ、抗酸化つまり風邪をひかない体、シミのないお肌を手に入れたい方はぜひ意識して実行してください。

お勧めの方法がいくつかあります。

①1錠1gのビタミンCサプリメントや市販のアスコルビン酸末(ビタミンCの学名:品質の確実な日本薬局方の物がお勧め)1gを1~2時間おきに摂取するという正攻法。アスコルビン酸末はかなり酸っぱいので、水に溶かして飲むといいでしょう。ただし、アスコルビン酸末は添加物もコーティングもない純粋なビタミンC。胃が弱い方は胃が痛くなることがあるので注意です。

②市販のアスコルビン酸末をお好みで(たっぷり溶かしたいところですが、お味と相談です)水に溶かしたものを水筒にいれ、頻回に飲む。はちみつを入れると飲みやすくなる上、低血糖予防の補食のかわりになるし、さらにトレースミネラルやマグネシウムドロップなどの液体を加えるとミネラル補給にもなります。ビタミンC、はちみつ、マグネシウム、いずれもが頻回に分けて補給するのが好ましい栄養素ですから、夏の水分補給に応用すると疲れにくくなり、一石四鳥!!

③ビタミンCは水溶性で余剰分は排泄されてしまいますが、ビタミンCを脂質でコーティングすることにより吸収と排泄を緩やかにして血中濃度を維持しやすくしたものが「リポソマルビタミンC」。色んなメーカーの物が販売されています。少し高価ですが、特に夜間、補給が難しい時間帯、仕事で頻回補給が難しい方、疲労がたまった方、風邪をひいた方にはお勧めです。

どうでしょう?ビタミンCの性質をよく知って有効活用してみませんか?

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