ビタミンC② 多彩なはたらき

ビタミンCの働きは他にもたくさんありますが、代表的なものは以下の通り。

働き不足するとおきやすい症状
①コラーゲンをつくるシワができやすい。傷が治りにくい。
毛細血管がやぶれやすい。
②免疫力を高める感染症(風邪など)にかかりやすい。
がんになりやすい。
③ステロイドホルモンをつくるストレスに弱くなる。
④鉄の吸収を助ける貧血になりやすい。
⑤酵素の働きを助ける肝臓の解毒作用が低下する。
⑥活性酸素を除去する色黒・シミ・ソバカスができやすい。

それぞれに少し補足しましょう。

①コラーゲンというと「お肌」をイメージされると思いますが、コラーゲンは皮膚に限らず全身のあらゆる臓器組織の形を作っています。血管の壁もコラーゲンですから、ビタミンC欠乏症である壊血病では血管が弱くなって出血しやすくなるんです。壊血病にはごく少量のビタミンCの補充が著効します。つまりビタミンCが少々足りなくてもまずはコラーゲンを作るお仕事が優先される、というくらい大事なお仕事なんですね。

②風邪にビタミンCが効く、とは以前より言われつつも、「ほんとかな?」と思っていませんでしたか?「風邪薬ほどは効かないでしょ!」と言われそうですが、そんなことはありません。コロナもそうですが、風邪の原因のほとんどは「ウイルス」。コロナの特効薬もないですが、風邪のウイルスそのものをやっつける薬はありません。西洋薬ではせいぜい熱さましや咳止めという対症療法しかできないんです。症状が軽くなれば効いているように錯覚しますが、「発熱」は体温を上げて免疫を上げるため、「咳」は病原体を肺や気管支から追い出すため、つまり治すための自然な反応なんですよ。つまり西洋薬の風邪薬では症状は軽くなるけど「治り」は遅くなるんです。漢方薬はその限りではありませんが、薬の事はさておき、ここではビタミンCの話。ビタミンCは好中球という白血球を活性化する働きがあるんです。好中球は、病原体が体内に入ってきたら真っ先に駆けつけて戦ってくれる細胞です。病原体が何者かわからなくても、怪しい!と察知したらすぐに駆け付けてくれる、いわば自然免疫の主役です。ただし、好中球が活性化するには、壊血病予防の10~100倍の量のビタミンCを摂取する必要があるんです。

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③ステロイドホルモンって、なんだか怖い薬のイメージがありますが、そもそもは副腎という臓器で作られる、ストレスや炎症を制御している重要なホルモンなんです。このホルモンが相対的に足りなくなると、勝手に炎症が起こったり免疫がおかしくなるので、お薬として投与せざるを得なくなるんですよね。そして、ステロイドホルモンをつくるのに、ビタミンCは風邪予防以上の量が必要なんです。

その他、鉄の吸収や酵素の働きを助けたり、活性酸素を抑える働きがありますが、鉄にも様々な作用があり、人間の体は酵素がなければ生きて行けないし、過剰な活性酸素は万病のもとですから、いかにビタミンCが重要かという事は、ここまで読んでいただいただけでも十分お分かりいただけたのではないでしょうか?

そして、近年、口からは摂れないほど高容量のビタミンCを血管に直接点滴すると癌に効くという事も科学的に証明されています。もちろんすべての癌に確実に効くわけではないですが、副作用がほとんどなく、ついでに感染症予防や副腎機能の向上も期待できますので、仮に延命はできなくても最後まで元気に「生ききる」お手伝いをしてくれるんです。抗がん剤で体力が弱って食欲がなくなるのと対照的ですね。抗がん剤投与中の患者さんでは、抗がん剤の作用を補助し副作用を軽減してくれる効果が期待できることも知られています。

このようにビタミンCは摂取量によって効果が変わってきますが、ビタミンではB群、Dなどでも摂取量や血中濃度による効果がそれぞれ分かってきていて、効果を出すのに必要な量を至適量、容量に応じて体の反応が起こることをことを「ドーズレスポンス」と言います。

「ビタミンCの歴史」で触れましたが、ビタミン発見の歴史は「欠乏症」の原因追及の歴史です。「欠乏症」と言われる命にかかわる病気を回避するだけならば少量で十分なことが多く(命に係わるのはよほどの欠乏ってことですね)、国が1日必要量として定められている量は、この欠乏症を予防する量です。だから、ドラッグストアで安く手に入るサプリメントや保険適応のビタミン剤では、欠乏症は予防できても風邪の予防やストレス対応などというビタミンCの能力全てを発揮することができない事を知っておきましょう。

もちろん安価な保険薬が欠乏症を予防して多くの命を救ってきた歴史が非常に貴重な事には変わりありませんけどね。

次回のビタミンCは「最適量のビタミンCを摂取するコツ」です。

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