マイコプラズマ感染症は病気のデパート。

マイコプラズマ感染症は、小児の肺炎で有名ですが、肺炎のような急性症状のみでなく長期化・慢性化するという特徴があります。

近年、早期認知症、喘息・アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性疲労症候群、関節リウマチ、膠原病、など多くの慢性炎症性疾患や難病と区別が難しい多彩な症状を呈し、それら疾患の根本原因となる場合が少なくない事が分かってきているのです。マイコプラズマ感染症が病気のデパートと呼ばれる所以です。

残念ながら、今の保険で測定できるマイコプラズマ抗体検査では陽性率が非常に低く、診断が困難なため認知度が低く、未だ治療に結び付いていません。

実は勤務医時代、原因不明で感染症が疑われる蕁麻疹や結節性紅斑の患者さんにクラリスロマイシンが著効して不思議に思う経験がよくありました。自己免疫性水疱症にミノサイクリンが著効するのもそれが一因ではないかと考えてもいいかもしれません。これら抗生剤はいずれもマイコプラズマ感染症に有効とわかっている薬剤ですが、抗菌作用ではなく、抗炎症作用が聴いているのだと教えられてきました。でもマイコプラズマ抗体検査をしても陰性で、症状が改善したらなんとなく中止したり、改善しなくて継続したりしていたのです。

栄養療法を勉強するにつれ、多くの疾患がマイコプラズマと関連がある可能性を知り、保険適応のある従来の検査では診断がつかない事も知り、マイコプラズマ脂質抗原抗体検査(残念ながら保険適応なし)のことを調べて、エムバイオテックという組織の存在を知りました。エムバイオテック (mbiotech.org) 社長も松田和洋先生はこの画期的な検査を長年かけて開発され、何とか世に広めて難病の患者さんに届きやすくなるよう奔走されています。

マイコプラズマ感染症と診断されれば、比較的安全性の確立された既存の薬剤で治療できます。中には免疫抑制剤の減量や中止に至った症例もあります。

ただ、治療においても、保険では急性の肺炎にしか対応できないため、自費診療となってしまっています。ですが、感染症には逆効果である免疫抑制剤やステロイドで症状を抑えるしかなかった難病が根本的に改善する可能性が出てきたという事は画期的です。

そして何より、病気や疲労のため仕事ができなくなった患者さんがよりよい人生を取り戻せるようになるならば、不治の病と闘うだけの人生よりずっと素晴らしいと思いませんか?いくら難病で医療費の自己負担が安くたって、本当は莫大な国の医療費を使っているのですし、根本的には治らないのですから・・・

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