食べたいものを我慢するくらいなら、薬を飲むわ

とは、残念ながら日常診療でよく聞く言葉でした。今はそう思われる患者さんは私の栄養療法外来には来てくれないので、めっきり聞かなくなりましたが、決して世の中の患者さんの考えが大きく変わっているわけではないはずです。

ですが、薬は、その症状が何故おこっているのかとは無関係に、あくまでも困っている症状を消してくれるだけであって、決して根本的に治してくれるだけではないんですよ。それでも薬を選ぶ理由は・・・

①栄養がいかに大切かの知識がない

②薬で「おさえる」のと「根本的に治る」のは違うという事を十分に理解していない

③良い食材を購入するより薬の方が安価である

④料理には手間と時間がかかる

⑤安くて保存のきく加工食品が手に入りやすい

①②は医療の専門家が情報提供して、お導きする必要がありますが、残念ながら医療の世界でも、このような考えは浸透していません。

③は、そう、身体に良い食材は、たいてい通常の商品よりお高いのです。一方、日本は、国民皆保険制度が非常に充実しているため、投薬に対する患者さんのご負担が極端に少ない国です。これは皮肉なことに栄養療法をするにあたってネックになることなんですが、「食べたいものを我慢するくらいなら、薬を飲んだ方がまし」となるんですよね~でも、待ってください。その、よく効くお薬、ずーっと飲んでいて、ホントに害がないですか?それに関してはまた回を改めて詳しく述べたいと思います。

④毎日の食卓をあずかる主婦なら、一度は「人間毎日ご飯を食べなくて済んだらなあ」「料理をしてくれる奥さんが欲しい~」と思ったことがあると思います。(ないかな?私は何回もあります。)そこは栄養の専門家たちが、いかに栄養をバランスよく摂れる簡単な献立をたてるか、工夫を凝らしたレシピを公開していますね。

⑤現在の栄養の問題すなわち「新型栄養失調」を作り出している最大の原因は・・・手に取ったらほぼすぐに、あるいは超簡単な調理で食べることができる加工食品が、どこのスーパーでも所狭しと並んでいくらでも手に入りやすい環境にいることです。

数ある食品関係の大手企業は、いかにたくさん売って利益を上げるか、を最優先にしています(むしろそれしか考えてないと言いたい)し、日本では欧米やアジア各国がすでに規制・禁止している有害物質でも規制がゆるゆるで、国は国民の健康より企業の利益を優先する政策しか作ってくれないとしか思えません。

でも、です!企業は、みんなが買わなければ、作りませんし、みんなが選ぶものなら作ります。もう、これは、各自が自分で自分の身を守るべく知識を得て賢い消費者になるしかないんです。ホントに切実にそう思います。

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感想(28件)
「買い物は投票なんだ」という絵本、ぜひ読んでみてください!

私はあきらめたくないので、こうして、いったい何人の方が読んでくれるかわからないブログを書き、数名にも満たない参加者でも、何時間もかけてスライドを作成して毎月セミナーを開催しています。

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