鉄欠乏の血液データ 深読み編

検診やドック、医療機関でのや血液検査の結果をご覧になったことがあると思います。

あなたの検査データの横には必ず「基準値」と言われる値が示されていて、その「基準値」を下回っていれば”L”(Low)または”↓”、上回っていれば ”H”(High)または”↑”  という印がついていますね。基準値の中に入っていれば「合格」です。

でも、この「基準値」は「正常値」ではないってご存知ですか?どうやって決められた数値かと言いますと、検査会社の自称健康(病院で病気だとは診断されていない)職員さん十数人~数十人の検査値の分布の上下5%を除いた値。つまり、職員さんの平均値のような値なんです。

これはつまり、鉄を例に挙げると、貧血とは言われてないけど隠れ鉄欠乏の若い女性職員さんの多い会社だと、鉄欠乏の症状がすでにある人も多く含まれている可能性大、という事。

え?じゃあ、自分が鉄欠乏ではないか、どうやったらわかるの?

ご安心ください。検診などの検査データを見れば結構わかります。

鉄欠乏の見分け方

もっと詳しく知りたい方は以下を熟読してください。

最も単純なのは血色素量(ヘモグロビン、Hbなどと記載される場合もある)。通常男性と女性に分けて表示されていますが、男性の数値を基準にする、ただそれだけでも鉄が十分かどうかの指標になります。最低でも男性の下限値(13.5g/㎗)を上まわっていることが必要。

次にMCV(平均赤血球容積)つまり赤血球の大きさ。鉄欠乏だとMCVが小さくなります。MCV90fL以下だと鉄欠乏の可能性大。ただし、大球性貧血(ビタミンB12や葉酸の欠乏)が重なると一見まっとうな数字になるので要注意。

そして、もしあれば血清鉄。100㎍/㎗以下だと鉄欠乏の可能性大。ただし、コレステロールが低すぎたり活性酸素が多くて赤血球の細胞膜が弱いなど赤血球が壊れやすい状態だと細胞内の鉄が血清にあふれ出し(溶血)、これまた一見まっとうな数字になるので要注意。

以下は鉄欠乏を意識しなければ調べない可能性大の検査ですが

TIBC(総鉄結合能):鉄を運ぶタンパク質と、UIBC(不飽和鉄結合能):鉄を載せるのを待っているタンパク質。鉄が少ないと一般的には運ぶタンパク質を増やして鉄を待ちます。鉄欠乏では両数値とも上昇します。理想値はTIBC/UIBC=300/200 ㎍/㎗ ただし、たんぱく質の消化吸収や代謝が悪くてタンパク不足に陥っていると、運ぶタンパク質の材料不足で数値が下がってしまい、鉄欠乏がわかりにくくなるので要注意。

最後にフェリチン=貯蔵鉄。この貯蔵鉄最低50ng/dl は欲しいところ。これをクリヤーできていない女性、20代から40代では半分以上といわれているんです。鉄は活性酸素を発生させやすい暴れ者なので、体に炎症があるとこのフェリチン上昇してしまい、これまた鉄欠乏が分かりにくくなるので要注意。

もし、症状や検査値で鉄欠乏が疑われるならば、鉄剤の投与(保険では無機鉄)、サプリメント、軽度ならば鉄の豊富な食材を摂るように。そして、鉄は胃酸やビタミンCで吸収が促進されます。レモンや酢の物、梅干しなどを積極的に摂ると良いでしょう。

植物性(野菜や果物)の鉄よりも、動物性(赤身肉やレバー、カツオなど)の鉄の方が吸収率は高いですよ。

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