栄養と発達障害

発達障害と診断された10歳の女の子との出会いです。

総合病院の皮膚科勤務医だった私のところに、「足の爪が白く弱くなって欠ける」という主訴で10歳の女の子が来てくれました。優しそうなお母さんが心配げに症状を語ってくれ、足趾にカサカサがあったので、顕微鏡で調べると水虫菌が見つかりました。爪からは菌が検出しませんでしたが通常ならば水虫を疑い、お子さんなので(飲み薬ではなく)まずは塗り薬を塗ってみましょうと言うと思いますし、実際抗真菌剤の塗り薬を処方しました。

水虫はカビの菌が皮膚の表面に感染して起こる病気とされています。もちろんそれは正しい。でも、栄養療法を学び始めていた私は、栄養療法的には水虫は腸内の真菌(カンジダ)の増殖を反映しているのではないかと、ちょっと疑ったんです。

食事内容を問診しましたら、食が細く、肉も魚も嫌いであまり食べないとの事。

そこで、タンパク質、鉄、亜鉛の欠乏で爪が濁ったり弱くなる可能性もあると説明し、「血液検査をするとある程度の栄養状態がわかるのですが、子供さんだしそこまではしなくても・・・」と言おうとしたところ「血液検査」と聞いたとたんに、「いやだ!怖い」と激しく泣き出してしまいました。 10歳にしてはあまりに幼い反応にびっくりすると、お母さんが「担任の先生や友達との関係が上手く築けず、不登校になっている。」とおっしゃり、のちに発達障害と診断されているとお聞きしました。

食事指導として肉や魚、野菜を頑張って食べること、カツオやイワシなどの出しの粉をチョコチョコ摂るよう勧めたところ、なんと再診時、学校へ行けるようになり、給食が完食できるようになった!と。しかも、ニコニコしながら「学校が楽しい」と大きな声で自分で報告してくれたんです。

私の栄養療法クリニック開業を機に栄養療法を希望され、 小麦、乳製品、砂糖、食品添加物を極力除去➡1か月で便秘が著明に改善し、「体が軽くなった」と喜んでくれましたが、まだ栄養療法の1時間のカウンセリング中にはエネルギー不足でじっと座っていられない状態。

これはよくあることで、発達障害のお子さんは押しなべて腸が悪く、その結果栄養状態も悪く、エネルギー産生が不十分なため、すぐに感染症などの病気になったりしんどくて学校に行けなかったり、神経伝達物質の代謝のバランスが悪くて過度な不安を感じたりするんです。

そこを栄養と結び付けて説明してさしあげると、お母さんは「○○ちゃんの我慢が足りないのではないと知って安心しました。」と言われました。栄養素が精神状態やエネルギー(元気度)に影響するという事が科学的に分かると、対処法が具体的になって安心されるようです。

お母さんとのカウンセリング(傾聴や思考パターンへの介入)、メールのやりとり、食事指導などを繰り返しましたが、その後、担任の先生がクラスメイトに暴力を振るうのを見たショックでまた学校に行けなくなったり、調子が悪くて受診できなかったりを繰り返し、やっぱりそう単純にはいかないのかなあと思っていた矢先のこと。

初診から1年半、クリニックで本格的に栄養療法を始めて約半年後、お母さんからうれしいメールが届きました。

「娘が修学旅行に行け、週に1日から2日学校に続けて通えました。前向きになり、出来る事も増えていて、(修学旅行や皆と一緒に卒業アルバムの写真を撮る等の行事の後は疲れて1週間程休んでしまいますが、)担任の先生からは先日「こんなに出来る○○ちゃんは見たことがありません。」と言っていただきまして、私もとても驚き嬉しいです。」

私が皮膚科医としてのキャリアを離れ栄養療法を選んだ最大の目的「子供を元気にする」に光がさした瞬間でした。

子供の発達障害は根本的には治らないとされています。心理療法やカウンセリングを繰り返してもなかなか成果が得られず、抗うつ剤などのお薬が使用されることもあります。でも、食事で劇的に改善する例もあるんです。薬には副作用がつきものですが、食べ物にはほぼ副作用はありませんし、精神症状のみならずエネルギー産生能や免疫機能の向上も期待できます。

どうかどうか、栄養療法が「治療」ではなく当たり前の「習慣」として世の中に浸透しますように・・・・

お子様の発達障害でお悩みのお父さんお母さん、まずは私の尊敬する内山葉子先生の著書「発達障害にクスリはいらない」をお勧めします!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です